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神経を残せる虫歯はどこまで?しみる症状の段階と歯髄温存療法

「虫歯が深いから神経を抜きましょう」と言われたことはありませんか。あるいは、冷たいものが染みるのを我慢していませんか。

歯の神経(歯髄:しずい)を抜くと、その歯の寿命は短くなる傾向があるとされています。神経は痛みを感じるだけでなく、歯に栄養や水分を運ぶ役割を担っているためです。

神経を失った歯は、水分が届きにくくなりもろくなります。また、痛みを感じにくくなるため、中で虫歯が再発しても気づきにくく、発見が遅れると抜歯につながることもあります。

だからこそ当院では、安易に神経を抜くのではなく、「神経を残す選択肢がある」ことを知っていただきたいと考えています。このコラムでは、神経を残せる症状の段階と、保険治療との違いを中心に解説します。(歯髄温存療法の仕組みそのものは、別記事でも詳しく解説しています。)

「神経を抜く治療」と「神経を残す治療」の比較

歯の寿命に関わる2つの治療法の違いを、費用や期間、将来的なリスクの観点で比較表にまとめました。

比較項目 保険の根管治療(神経を抜く) 当院の歯髄温存療法(神経を残す)
歯の寿命 短くなる傾向がある(もろくなる) 本来の歯の寿命を維持しやすい
治療期間 数回〜数ヶ月(複数回の通院) おおむね1〜2回
初期費用 保険適応(比較的安価) 66,000円(自由診療・税込)
将来のリスク 根の先が膿む、歯が割れる再発リスクがある 歯の強度を保ちやすく、リスクを抑えやすい
再治療費 再発時に被せ物のやり直し費用が発生することがある 将来的な抜歯やインプラントのリスクを抑えやすい

一見すると保険診療のほうが安価で手軽に思えるかもしれません。しかし、神経を失った後の再治療や、将来的にインプラント・入れ歯が必要になる可能性も含めて考えると、神経を残すことには長期的な価値があります。

当院の歯髄温存療法とは

当院では、虫歯が神経に達している場合でも、神経を残す「歯髄温存療法(しずいおんぞんりょうほう)」を行っています。当院におけるこの治療の成功率は95%です。この水準を支えているのが、次の3つのこだわりです。

①マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)

虫歯と神経の境界は、肉眼では見極めが難しい部分です。当院では視野を拡大できるマイクロスコープを使用し、感染した部分を精密に除去します。健康な神経をできるだけ傷つけずに、正確な治療を行うことを目指します。

②ラバーダム防湿

お口の中の唾液には多くの細菌が含まれます。治療中に唾液が神経に触れると、感染を起こして治療がうまくいかないことがあります。そのため当院では、治療する歯を隔離するゴム製のシート「ラバーダム」を使用し、清潔な環境に近づけて治療を行います。

③MTAセメント

神経が露出した部分には、バイオセラミック素材である「MTAセメント」を使用します。殺菌作用を持ちながら生体親和性が高く、削られた歯の再生(硬組織の形成)を促す性質があるとされる材料です。これを的確に詰めることで、神経を外部の刺激から保護します。

あなたの症状はどの段階?神経を残せる範囲と限界

虫歯は進行するほど、神経を残せる確率が下がっていきます。ご自身の症状がどの段階にあるか、以下と照らし合わせてみてください。

・初期症状:歯が浮く感じがする、違和感がある

・注意段階:冷たいものが染みる ──【成功率95%の適応範囲】

・危険段階:温かいものが染みる ──【チャレンジケース】

・末期症状:ズキズキと激しく痛む → やがて神経が死んで痛みを感じなくなる

当院で成功率95%となるのは、「冷たいものが染みる」までの段階です。この状態であれば、精密な治療によって高い確率で神経を残せる可能性があります。また、他院で虫歯治療をしている最中に「思ったより深くて神経が出てしまった」というケースも、その場で適切に処置すれば神経を残せることがあります。

「温かいものが染みる」段階はチャレンジケース

「温かいものが染みる」段階まで進んでいる場合、神経の炎症がかなり進んでいる状態です。一般的には「適応外(神経を抜く)」と診断されることが多いのですが、当院では「可能性が少しでもあるなら残したい」という患者様のために、チャレンジケースとして治療を承ることもあります。抜いてしまう前に、一度ご相談ください。

費用とリスクの開示

メリットだけでなく、費用とリスクもお伝えします。

・精密虫歯治療(虫歯のみ除去):33,000円(税込)

・歯髄温存療法(MTAセメント使用):66,000円(税込)

この治療は、保険診療の制限(使用できる機器や材料の制約)にとらわれず、マイクロスコープやラバーダム、MTAセメントを併用するため、自由診療(自費)となります。

知っておいていただきたいリスク

歯髄温存療法は有効な治療ですが、身体の反応による治療である以上、すべてのケースで成功を保証できるものではありません。治療後に痛みが引かない場合や、神経の壊死が進んでしまった場合は、最終的に神経を抜く根管治療へ移行することがあります。ただ、最初から諦めて抜くのと、可能性にかけて天然歯を残そうとするのとでは、その後の歯の寿命が変わってくることがあります。

まとめ|「神経を抜く」と言われたら、諦める前に

一般的な保険診療では、深い虫歯で神経が露出すると「抜髄(神経を抜く)」となるケースが多くあります。しかし、精密なアプローチを行えば、神経を残せる場合があります。

「冷たいものが染みる」「大きな虫歯がある」「他院で神経を抜かないといけないと言われた」という方は、状態が進む前に一度当院へご相談ください。マイクロスコープとラバーダムを用いた精密な診査・診断で、歯を残すための選択肢をご説明します。

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