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インプラント術後に腫れる原因と対処法、腫れのピークなど解説【医師監修】

インプラント手術後の腫れについて心配される方もいらっしゃることと思います。
腫れてしまうと外出しにくくなったり、食事が取りづらくなったりと、日常生活に支障をきたすため不安になるのは当然です。
本記事では、インプラント術後に腫れる原因と適切な対処法、さらに腫れ以外で注意すべき症状についても詳しく解説します。
ぜひお読みいただき、安心してインプラント治療を受けていただければと思います。
インプラント術後は腫れる?

インプラント治療では外科的な処置が必要となり、この過程で周辺組織に軽微な損傷が発生します。
身体は自然な防御反応として炎症を起こし、患部に血液成分やリンパ液が集積することで腫れが現れます。
この現象は治癒過程における正常な反応であり、多くの場合において観察されます。
インプラント術後の腫れはいつまで続く?
インプラント治療では顎の骨に孔を開ける外科処置を行うため、術後に腫れが生じることがあります。
治療の複雑さによって腫れの持続期間は変わります。
単純な埋入手術の場合、術後3~5日程度で主要な腫れが軽減することが一般的です。
下顎奥歯に1本埋入した症例を例に挙げますと、術後2日目に頬が軽く膨らむ程度で、4日目には外見上ほぼ分からない状態まで回復するケースがよく見られます。
一方、骨造成術やサイナスリフトを併用した治療においては、腫れの持続期間が延長する傾向があります。
上顎洞底挙上術を同時に行った場合には、頬から目の下にかけて広い範囲で腫れが生じることがあり、術後5日目頃まではゆっくりとした改善経過をたどります。
このような複雑な手術では、完全に腫れが引くまで1~2週間程度を要することもあります(個人差があります)。
腫れのピークはいつ?
腫れが最も強くなる時期は、一般的に術後24~72時間の期間です。
この現象には明確な段階的変化が認められます。
手術翌日、つまり術後24時間の時点で最初の変化が現れます。
夜間から朝方にかけて、麻酔効果が切れると同時に血液の流れが活発になり、腫れが強くなることがあります。
この時期の適切な管理が後の経過を左右する重要な要素となります。
術後2~3日目にかけて、多くの患者が最も強い腫れを感じます。
冷却処置を怠った場合には頬全体が大きく膨らむこともあります。
術後4日目以降になると段階的な改善が始まり、多くの方で1週間前後には日常生活で気になりにくい程度まで軽減します(個人差があります)。
ピーク時の腫れを軽減するための方法として、術後24~48時間は15~20分間の冷却と同じ時間の休憩を交互に繰り返すことが効果的です。
就寝時には枕を高く調整し、頭を心臓より上に保つことで血液が下に溜まることを防ぐことができます。
※就寝中の“当てっぱなし”は避け、必ずタオル等を介在させてください。
腫れに伴う痛みはある?
腫れの程度に比例して「重苦しい圧迫感」や「ズキズキとした痛み」が生じやすくなります。
痛みが起こる仕組みとして、骨を削った刺激や組織のむくみが周辺の神経を軽く圧迫することが挙げられます。
下顎奥歯への埋入を例に取ると、頬の内側に「押されるような違和感」を自覚することがあります。
また、冷たい水でしみるように感じる場合は、インプラント自体の知覚ではなく周囲の歯肉や隣在歯の知覚による可能性があります。
痛みの強さと続く期間については、多くの患者で術後24時間以内に最も強い痛みが現れ、通常3~5日で痛み止めを必要としない程度まで軽減します。
骨造成術を併用した症例では、術後3日目まで痛み止めの必要量がやや多くなる場合があります。
インプラント術後に腫れる原因

本項目では、インプラント術後に腫れる原因をご説明します。
手術後の免疫・防御反応
インプラント手術では、歯肉を切開して骨に孔を開け、人工歯根を埋め込みます。
この外科的な処置に対し、身体は本来持っている免疫と防御の仕組みで対応します。
手術部位に傷ができると、まず白血球の一種であるマクロファージや好中球が集まってきます。
これらの細胞は情報を伝える物質を放出し、血管を広げて血液やリンパ液を傷の周辺に集める働きをします。
この結果として腫れが生じることになります。
血管の壁が一時的に緩むことで、血液の液体成分が組織の間に漏れ出しやすくなります。
これが術後24~72時間にかけての腫れのピークを作る主な要因となっています。
細菌感染
口の中は常に数百種類の細菌が共存している環境です。
手術部位を清潔な状態に保っていても、細菌が入り込むリスクが存在します。
切開した部分に細菌が侵入し、局所的に急性の炎症を引き起こすと、赤みとともに腫れが強くなります。
抜糸の前後にうがいや歯磨きが不十分だと、歯垢の中にいる常在菌がインプラント周囲で増えやすくなります。
感染による腫れには特徴があります。通常の術後の腫れよりも局所が熱く感じられ、押すとズキッと痛みます。
術後3~5日目以降も腫れが引かず、膿が出る場合は注意が必要です。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎とは、天然歯の歯周病に相当する「インプラントの歯周組織の炎症」です。
治癒後でもいくつかの要因で発症し、腫れを起こします。
清掃が不十分な場合、被せ物と歯肉の境目に歯垢がたまり、炎症が慢性化すると歯肉がむくんで腫れや出血を伴います。
噛み合わせが強すぎると、インプラントに細かい揺れや組織への負担が生じ、周囲に炎症を引き起こします。
セメント残存などの異物反応により、歯肉が局所的に腫れる場合もあります。
金属アレルギー(チタン由来)は極めて稀ですが、気になる方は事前にご相談ください。
インプラント術後に腫れたときの対処法

本項目では、インプラント術後に腫れたときの対処法をご紹介します。
処方された薬を正しく服用する
医師から処方された鎮痛薬は、痛みのコントロールに有効です。
ロキソプロフェンなどのNSAIDsには炎症を抑える作用もあります。
一方、アセトアミノフェンは主に鎮痛・解熱作用で、腫れ自体を直接は抑えにくい薬です。
処方時の用量・服用間隔・最大用量の指示を必ず守って服用してください。
細菌感染を防ぐための抗生物質は、症状が良くなっても自己判断で中断せず、必ず最後まで飲み切ってください。
途中でやめると、菌が残って再度腫れや痛みを引き起こす原因になります。
医院で指示された抗菌性うがい薬(種類や濃度は医院の指示に従ってください)も、術後1週間程度は毎食後と就寝前に使用しましょう。
就寝前は、寝ている間に口の中の細菌が増えやすいため、しっかりケアすることで翌朝の腫れを予防できます。
※薬剤アレルギーの既往がある方は必ず事前にお申し出ください。
血流が増える行為を避ける
ジョギングやジムでの筋力トレーニング、重い荷物の持ち運びは、術後3~5日は控えましょう。
血流が全身的に上がると、手術部位への血液も増えて腫れや内出血がひどくなることがあります。
術後48時間までは熱いお風呂やサウナは避けてください。
熱い刺激で血管が広がり、頬のむくみが長引きます。
ぬるめのシャワーで清潔を保ち、血流に負担をかけないようにしましょう。
傷口を刺激しない
強いうがいや口を大きく開けての会話は、縫った部分に過度な力がかかり、傷の開きや腫れの悪化を招きます。
静かにそっとうがいし、会話は最小限にしましょう。
手術部位周辺は、柔らかめの歯ブラシを使い、ブラシの先端を直接当てずに周囲からそっと清掃します。
デンタルフロスは術後1週間程度お休みし、糸に引っかからないように専用の歯肉保護ジェルで補強する方法もあります。
ストローで強く吸う動作は口の中の陰圧が強まり、縫合部に負荷がかかります。
飲み物はコップで静かに飲み、口呼吸も極力避け、腫れを悪化させないように気をつけましょう。
口内を清潔に保つ
インプラント術後は、外科的な傷口に細菌が入り込みやすいため、医師の指示どおりの抗菌性うがい薬を使いましょう。
術後24時間を過ぎたら、毎食後と就寝前に30秒ほどゆっくりうがいすることで、歯垢や細菌の付着を防ぎ、腫れや痛みの悪化を抑えます。
手術部位周辺は、柔らかめのヘッドが小さい歯ブラシを選び、縫合糸の近くには直接当てず、周囲の歯や歯肉からそっと汚れをかき出すイメージで磨きます。
下顎の奥歯に埋入した場合は、鏡で糸の位置を確認しながら、ブラシを斜め45度に当てて軽く往復させると安全です。
食べかすが残ると細菌が増えやすいため、食後すぐにコップ一杯程度の水で軽く口をすすぎ、血栓をはがさないよう気をつけながら口の中を清潔に保ちましょう。
患部を冷やす
手術後48時間までは、頬の外側から氷嚢や保冷剤をタオルで包み、術部に向けて「15~20分冷却→15~20分休憩」を繰り返します。
これにより、血管の収縮が促されて腫れや内出血が最小限に抑えられるでしょう。
冷やしすぎると凍傷のリスクがあるため、直接肌に当てず必ず布やハンカチを挟み、就寝中の当てっぱなしは避けましょう。
術後3日目からは冷却効果が落ち着いてくるため、必要に応じて断続的に行ってください。
飲酒・喫煙を避ける
アルコールは血管を広げ、手術部への血流量が増えることで腫れや出血がひどくなるおそれがあります。
また、処方薬との相互作用や肝機能への負担も生じます。少なくとも数日~1週間は禁酒してください(具体的な期間は医院の指示に従ってください)。
ニコチンやタールは血管を収縮させ、傷口への酸素や栄養の供給を妨げます。
その結果、治癒が遅れ、腫れや痛みが長引く原因となります。
術後少なくとも2週間は禁煙し、どうしても吸いたい場合はパッチやガムなど代替療法を医師に相談してください。
医師に相談する
通常は術後1週間ほどで腫れがおさまりますが、痛みが強い、腫れが長引く、膿が出るなどがあれば、ためらわずに担当医へ連絡しましょう。
具体的には「術後5日経っても腫れが引かない」「顔の片側だけ熱感がある」など、いつ・どのような症状かを詳しく伝えると診断がスムーズです。
高熱が続く、出血が止まらない、呼吸や飲み込みに支障が出る場合は緊急対応が必要です。
症状によっては院内での再診や別の日程で抗生剤の追加処方、場合によっては点滴治療を行うこともあります。
インプラント術後に気を付けたい腫れ以外の症状

本項目では、インプラント術後に気を付けたい腫れ以外の症状をご紹介します。
痛み止めが効かないほどの強い痛み
通常の術後痛は鎮痛薬でコントロールできますが、服用後も「ズキズキとした激痛が続く」「食事や会話もままならない」ほど強い痛みは注意が必要です。
考えられる原因として、インプラントを埋め込んだ顎の骨にひびが入る、あるいは骨片が浮いた状態で残っている場合があります。
また、手術部に細菌が侵入し、深部感染が起きている可能性もあります。
このような症状がある場合は、速やかに担当医へ連絡し、レントゲンやCTで精密検査を受ける必要があります。
必要に応じて鎮静下での処置や追加の痛みの管理を行います。
止まらない出血
術後24時間を過ぎてもガーゼ交換しても血がにじむ、あるいは鮮血がポタポタと落ちる状態が続く場合は異常です。
正常な術後出血は、24時間以内に徐々に止まります。
まずは清潔なガーゼを“20~30分”しっかり噛んで圧迫止血してください。
それでも30分~1時間経っても止まらない場合は、すぐに来院し、局所止血処置や薬剤調整を検討する必要があります。
※抗凝固薬等を内服されている方は、通常は術前に主治医と連携して調整します。服薬状況は必ずお知らせください。
口元の麻痺や痺れ
施術部位周辺だけでなく、下唇や顎、舌の一部に「ビリビリ」「チクチク」としたしびれや感覚の鈍さが生じる場合があります。
多くは一過性ですが、長引く場合や広範囲の場合は注意が必要です。
下顎部ではインプラント埋入の深さや角度が神経に近いと、ドリルやインプラント体がわずかに触れてしびれを引き起こすことがあります。
また、術後の腫れが神経を圧迫し、一時的なしびれを起こすケースもあります。
このような症状がある場合は、すぐに担当医に連絡し、神経検査を実施します。
必要に応じて医師の判断で位置調整や薬物療法(例:ステロイド投与で炎症を抑える等)を検討します。
インプラント部分の違和感
「インプラントを埋めた歯肉の硬さが不自然」「噛むと金属が当たる感じがする」「長期間チクチクとした軽い刺すような痛みが続く」といった違和感がある場合があります。
被せ物が高すぎると、一部分に強い力がかかり続け、顎や歯肉に違和感を生じさせます。
また、インプラントと骨が完全に結合する前に早期に噛む力をかけると、骨とインプラントの間に細かい動きが生じ、違和感や軽い痛みを招くことがあります。
噛み合わせチェックや被せ物の調整は、必ず歯科医師に依頼しましょう。
自己判断で硬いものを避けるだけでなく、専門的な噛み合わせ調整が最も確実です。
薬による湿疹や下痢
抗生物質や鎮痛薬の副作用で、「全身に赤い発疹が出る」「かゆくて夜も眠れない」「服用後に激しい下痢を繰り返す」といった症状が現れることがあります。
ペニシリン系やセフェム系の抗生物質で発疹やかゆみが出ることがあります。
また、広範囲に効く抗生物質は善玉菌も減らし、腸の動きが活発になり下痢を招くことがあります。
発疹やかゆみ、下痢などの副作用が現れたらすぐに服用を中断し、担当医へ相談してください。
症状に応じて薬剤の変更や整腸剤、抗アレルギー薬の追加処方を受けましょう。
まとめ

インプラント手術後の腫れは、外科処置に対する身体の自然な防御反応として現れます。
多くの場合、術後24~72時間で腫れのピークを迎え、単純な埋入手術なら3~5日程度で軽減します。
骨造成術などを併用した複雑な治療では1~2週間かかることもあります。
腫れへの対処として、処方された薬の正しい服用、患部の適切な冷却、口内の清潔維持が重要です。
また、激しい運動や熱い入浴、飲酒や喫煙は血流を増やして腫れを悪化させるため避けましょう。
腫れ以外にも、痛み止めが効かないほどの強い痛み、止まらない出血、口元の麻痺や痺れなどの症状が現れた場合は、速やかに担当医へ相談が必要です。
都筑マイクロスコープ歯科では、患者さま一人ひとりの状態に合わせた丁寧なインプラント治療を行っています。
術後のケアや不安な症状についても、経験豊富なスタッフが親身にサポートいたします。
安心してインプラント治療を受けたい方は、ぜひ当院へご相談ください。
