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ドクターブログ
抜歯後どっちがいい?インプラントとブリッジの比較と後悔しない基準を徹底解説
「どうしてもこの歯は残せません」 歯科医師からそう告げられた時、多くの方が目の前が暗くなるようなショックを受けられることでしょう。
しかし、本当に大切なのはその「後」です。抜歯した後にどの治療法を選ぶかによって、あなたのお口全体の健康、そして10年後、20年後に自分の歯が何本残っているかが決定づけられるからです。
「入れ歯、ブリッジ、インプラント……どれがいいの?」と迷われている方へ、当院のコンセプトである「健康な歯をなるべく削らない・守る」という視点から、プロとしての提言をお伝えします。
「入れ歯」を積極的におすすめしない、明確な理由
まず、抜けた歯を補う方法として「入れ歯」がありますが、当院では積極的にはおすすめしていません。
もちろん、多くの歯を失っている場合など入れ歯が避けられないケースもありますが、まだ他の歯が健康に残っている段階での安易な入れ歯の選択は、「負の連鎖」の入り口になりかねないからです。
残った歯を揺さぶる「クラスプ(金属のバネ)」の負担
入れ歯は、残っている自分の歯に「クラスプ」と呼ばれる金属のバネ(金具)を引っ掛けて固定します。食事をするたびに、そのバネがかかった歯にはテコの原理で大きな負担がのしかかります。例えるなら、重い荷物を背負ったまま全力疾走を強いられているような状態です。
歯を失うドミノ倒しを防ぐために
その結果、バネをかけていた健康な歯が虫歯になったり、根元から折れたりして、次々と抜歯に追い込まれる「ドミノ倒し」のような現象が起こります。歯を失うたびに入れ歯はどんどん大きく、違和感の強いものになり、噛む力も衰えていきます。私たちは、患者様にそのような後悔をしてほしくないと考えています。
「隣の歯」が、インプラントかブリッジかを決める
では、固定式の「インプラント」と「ブリッジ」ではどちらが良いのでしょうか。結論から申し上げますと、「あなたの隣の歯の状態」によって、最適解は大きく変わります。
インプラントとブリッジの最大の違いは、周囲の歯を削るかどうかです。隣が健康な歯ならインプラント、治療済みならブリッジが検討対象になります。
判断基準①:両隣の歯が「天然歯(健康な歯)」の場合
もし、欠損した両隣の歯が、一度も削ったことがない、あるいは小さな詰め物だけで済んでいる「健康な歯」であれば、当院では強くインプラントを推奨します。
なぜなら、ブリッジにするためには、両隣の健康な歯を大きく削り、橋渡しをしなければならないからです。歯は一度削ってしまうと二度と元に戻りませんし、削った歯は寿命が短くなるリスクを抱えます。 「失った1本の歯を補うために、2本の健康な歯の寿命を犠牲にする」 これは、当院の「健康な歯を削らない」というポリシーに反します。インプラントであれば、1本の独立した歯として自立するため、周囲の歯を一切傷つけることなく、お口全体のバランスを守ることができます。
判断基準②:両隣の歯が「すでに治療済みの歯(銀歯など)」の場合
一方で、もし隣の歯がすでに大きな銀歯であったり、以前に被せ物治療を終えている歯であったりする場合は、ブリッジという選択肢も現実的になります。すでに削られている歯であれば、それを土台として利用することの心理的・物理的ハードルが下がるからです。
ただし、この場合でも「どのような材料でブリッジを作るか」が、その後の運命を左右します。
ブリッジの寿命を左右する「材料」の選び方
ブリッジを選択する場合、保険診療の「銀歯」を検討される方も多いでしょう。しかし、専門的な視点で見ると、銀歯には将来的な再治療のリスクが潜んでいます。
銀歯の変形と二次カリエス(虫歯の再発)
最大の懸念は「適合性と変形」です。 保険で使用される合金は、お口の中という過酷な環境(温度変化や強い噛み合わせの力)において、経年的にわずかな変形を起こす特性があります。すると、歯と銀歯の間に目に見えないほどの「隙間」が生じ、そこから虫歯菌が侵入して、被せ物の中で虫歯が広がるのです。
自費の被せ物(セラミック・ジルコニア)の価値
そのため、ブリッジを選択される場合は、適合精度が極めて高く、汚れがつきにくく変形しにくい「自費のセラミックやジルコニア」をおすすめしています。これらは単に見た目が美しいだけでなく、「土台の歯を虫歯から守り抜く」ための極めて実用的な選択なのです。
当院のインプラント治療:精密診断と「骨を作る」技術
インプラントは非常に優れた治療法ですが、外科手術を伴うため、当院では安全性と確実性に徹底的にこだわっています。
CTによる精密診断の徹底
インプラントを埋入する前には、必ず歯科用CTによる撮影を行います。顎の骨の厚み、密度、神経や血管の位置を3次元で正確に把握するためです。「骨があるか」を事前に100%確認してからプランを立てます。
骨がなくても諦めない「造骨(骨造成)」
抜歯が決まった際、すでに歯周病などで骨が溶けてしまっているケースもあります。当院では、CT診断の結果、骨が不足していると判断した場合は、抜歯と同時に「造骨(骨を作る処置)」を行うなど、インプラントを支えるための土台作りを徹底します。その後、骨が完全にできあがったことを再度CTで確認してから、初めて埋入手術へと進みます。
治療の終わりは「予防」の始まり
新しい歯が入った瞬間はゴールではなく、「新しい歯を一生持たせるためのスタート」です。
特にインプラントや精密なブリッジを長持ちさせるには、プロによる定期的なメンテナンスが欠かせません。当院では、治療を終えられた全ての患者様に対して、お口の健康を維持するために「1年に1回は必ずメインテナンスに来てください」とお伝えしています。
まとめ:10年後も、自分の歯で噛むために
歯を失った時、どの治療を選ぶのが正解か。その答えは、今の予算や期間だけで決めるべきではありません。
・「健康な歯をこれ以上削りたくない」
・「他の歯に負担をかけたくない」
・「10年後も、今と同じように何でも美味しく食べたい」
そう願われるのであれば、ぜひ一度当院にご相談ください。まずはCT撮影を含む徹底的な診査を行い、あなたの将来にとって最もリスクが少なく、メリットが大きい方法はどれかを一緒に考えさせていただきます。
あなたの「残っている歯」を守るための最善の道を、一緒に見つけていきましょう。
この記事の監修者

都筑マイクロスコープ歯科 院長
内田 宜孝
UCHIDA YOSHITAKA
「歯の神経を抜くこと」は、患者様のその後の人生を左右する大きな決断です。だからこそ、私は安易に抜髄や抜歯を選択せず、マイクロスコープを用いた精密治療で「一本でも多くの歯を救う」ことに全力を注いでいます。 かつて治療で怖い思いをした方や、諦めかけている方も、ぜひ一度ご相談ください。友人や家族に対するように、あなたの歯の未来を一緒に考え、守っていくことをお約束します。
【プロフィール】
神奈川歯科大学卒業。日本歯内療法学会、日本顕微鏡歯科学会所属。 「石井歯内療法セミナー」や「顕微鏡治療ハンズオンコース」など、高度な技術研鑽を積み、再発の少ない精密根管治療を提供している。
