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銀歯の土台が歯を割る?メタルコアのリスクと長持ちする「ファイバーコア」

「以前治療した銀歯が、最近なんとなく違和感がある」 「差し歯の付け根の歯ぐきが黒ずんできた気がする」

もし、あなたが過去に神経を抜くような大きな虫歯治療を受け、金属の被せ物をしているのであれば、その内側には**「金属の土台(メタルコア)」**が入っている可能性が非常に高いです。

実は、私たち歯科医師がレントゲンを撮り、最も「リスクが高い」と感じるのは、虫歯そのものよりも、この金属の土台、特に**「ネジ(スクリュー)タイプ」**のものが埋まっているのを見つけた瞬間です。なぜなら、その金属が原因で、ある日突然「歯が真っ二つに割れてしまう」という悲劇が起こり得るからです。

今回は、なぜ金属の土台は「もう古い」と言われるのか、そしてあなたの大切な歯を抜歯から救うための「ファイバーコア」の重要性について、専門的な視点から詳しくお伝えします。

 

なぜ「金属の土台(メタルコア)」はもう古いと言われるのか?

日本の歯科治療で長く使われてきたメタルコアの正体

かつての日本の歯科治療において、神経を失った歯の補強には、安価で加工しやすい「銀合金」などの金属が主流でした。これが「メタルコア」です。保険診療の範囲内で広く普及してきたため、現在40代以上の方の口内には、多くの場合このメタルコアが埋まっています。

歯科医師が「金属のネジ」に危機感を抱く理由

メタルコアの中でも、特に注意が必要なのが「ネジ(スクリュー)タイプ」です。 これは、歯の根の中に金属のネジを直接ねじ込んで固定するタイプです。治療当時は「しっかり固定できる」と考えられていましたが、時間の経過とともに、このネジが歯にとって致命的なダメージを与えることがわかってきました。

 

「硬すぎる金属」が、ある日突然歯を割る

歯を失う原因の第1位は歯周病ですが、それに次いで多いのが「歯根破折しこんはせつ:歯の根が割れること)」、つまり歯の根っこが割れてしまうことです。そして、その主犯格が「硬すぎる金属の土台」なのです。

硬すぎる金属が「楔(くさび)」となって歯を割ってしまう

人間の歯(象牙質)には、適度な「しなり」があります。食事をしたり、歯ぎしりをしたりする際、歯には強い力がかかりますが、歯自体がわずかにたわむことでその衝撃を逃がしています。 しかし、金属は歯に比べてあまりにも硬すぎます。強い力がかかったとき、金属は一切しなりませんが、その周囲にある自分の歯はたわもうとします。このとき、金属が「楔(くさび)」のような役割を果たし、内側から外側へ向かって歯を押し広げ、バキッと割ってしまうのです。

木にネジをグリグリと入れるとどうなるか?

これを分かりやすく例えるなら、「乾燥した木に、太いネジをグリグリと力任せにねじ込む」ようなものです。 ネジを入れれば入れるほど、木の周囲には細かなヒビが入ります。

その状態で上から力が加わったり、左右に揺さぶられたりすれば、ヒビは一気に広がり、最後には木そのものが真っ二つに裂けてしまいます。

これと同じことが、あなたのお口の中でも起こっている可能性があるのです。

一度割れた歯は元に戻らない——「抜歯」宣告のカウントダウン

非常に残念なことですが、歯の根っこが深く割れてしまった場合、現代の歯科医療でも修復することはほぼ不可能です。

その場合の診断は、無情にも「抜歯」となります。 「痛みがないから大丈夫」と思っていても、金属のネジによって刻一刻とヒビが深まっているかもしれません。

レントゲンでヒビが見つかったときには、すでに手遅れであることも少なくないのです。

 

歯ぐきの変色やアレルギー、二次虫歯のリスク

歯が割れるリスク以外にも、メタルコアには無視できないデメリットがいくつかあります。

・ブラックラインと歯ぐきの変色: 金属成分が溶け出し、歯ぐきが黒ずんだり、被せ物との境目に黒い線(ブラックライン)が出たりします。

・金属アレルギーのリスク: お口の中の過酷な環境で金属が溶け出し、全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。

・二次虫歯(再発): 金属は歯との密着性が低いため、隙間から細菌が入り込み、中で虫歯が再発しやすい傾向があります。

 

歯を守るための選択「ファイバーコア」の4つのメリット

そこで現在、当院が自信を持って推奨しているのが、グラスファイバーの繊維を用いた**「ファイバーコア」**です。

メリット1:歯と同じ「しなり」があるから、衝撃を逃がす

ファイバーコア最大の強みは、その弾性(しなり)が「自分の歯」とほぼ同じであることです。強い力がかかっても、歯と一緒にしなって衝撃を吸収してくれるため、歯根破折のリスクを劇的に抑えることができます。

メリット2:透き通るような美しさ!

金属特有の影がないため、セラミックの被せ物をした際、内側から光を通します。天然歯に近い、透明感のある美しい仕上がりが可能です。

メリット3:金属アレルギーの心配がない

一切金属を使用していないため、アレルギーの方も安心して使用できます。また、将来的に歯ぐきが黒ずむ心配もありません。

メリット4:再治療の際、歯へのダメージを最小限に抑えられる

万が一、将来的に再治療が必要になった際も、ファイバーコアは除去が比較的容易であり、自分の歯を削る量を最小限に抑えることができます。

 

当院のこだわり|金属の土台を「安全に外す」ための技術

レントゲンで金属の土台、特にネジタイプのものが入っているのを見つけた際、私たちは「このまま放置すれば、いずれ歯を失うことになる」という危機感を持ち、患者様へ丁寧にご説明しています。

独自の「逆回転」除去法

古い金属の土台を外すのは、非常に高度な技術を要します。無理に引っ張れば、その衝撃で歯を割ってしまうからです。 当院では、ネジの特性を理解し、超音波機器を用いて「逆回転」の力を加えながら、慎重に、かつ愛護的に土台を除去します。「取れない」と諦める医院もありますが、当院では患者様の大切な歯を残すため、この工程を非常に大切にしています。

納得感を大切にする治療の選択肢

まずは「根の病気」がないかを徹底的に診断します。

・根の病気がない場合: 将来の破折を防ぐために、土台だけをファイバーコア(3.3万円[税込])へ交換することをお勧めします。

・根の病気がある場合: 放置はできないため、根管治療(根の掃除)からやり直します。

・より安心を求める方へ: 根に問題がなくても、より精密な処置を希望される方には、自費の根管治療という選択肢もご提示し、患者様ご自身に納得して選んでいただきます。

 

【まとめ】「抜歯」になる前に、土台の点検を

「痛くないからまだいいや」という油断が、数年後の「抜歯」を招くかもしれません。金属のネジが歯を壊す前に、まずは自分のお口の中に何が入っているのかを知ることが、歯を守る第一歩です。

当院では、将来を見据えた「守りの歯科治療」を提供しています。もし、あなたの口の中に銀歯や古い差し歯があるのなら、一度レントゲンでチェックしてみませんか?

 

この記事の監修者

都筑マイクロスコープ歯科 院長

UCHIDA YOSHITAKA

「歯の神経を抜くこと」は、患者様のその後の人生を左右する大きな決断です。だからこそ、私は安易に抜髄や抜歯を選択せず、マイクロスコープを用いた精密治療で「一本でも多くの歯を救う」ことに全力を注いでいます。 かつて治療で怖い思いをした方や、諦めかけている方も、ぜひ一度ご相談ください。友人や家族に対するように、あなたの歯の未来を一緒に考え、守っていくことをお約束します。

【プロフィール】

神奈川歯科大学卒業。日本歯内療法学会、日本顕微鏡歯科学会所属。 「石井歯内療法セミナー」や「顕微鏡治療ハンズオンコース」など、高度な技術研鑽を積み、再発の少ない精密根管治療を提供している。

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