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ドクターブログ
レントゲンで異常なしでも痛いのはなぜ?根管治療を繰り返すリスク
「何度も根の治療をしているのに、鈍い痛みが取れない」「レントゲンを撮っても『根の先に影はないから大丈夫』と言われる。でも、噛むと痛い……」
このような悩みを抱えて当院を受診される患者様は少なくありません。原因がわからないまま、何度も被せ物を外しては根の中を掃除する処置を繰り返していると、知らず知らずのうちにあなたの歯は「抜歯」へと近づいている可能性があります。
なぜ、レントゲンで異常がないのに痛みが出るのでしょうか。そして、なぜ治療を繰り返すことが危険なのでしょうか。歯科医師の視点から、その真実を詳しく解説します。
なぜ、何度も根の治療を繰り返しても痛みが取れないのか?
歯科医院で一般的に撮影される2次元のレントゲン写真には、限界があります。レントゲンはあくまで「影」を見ているに過ぎず、ミクロ単位の異変をすべて映し出すことはできないからです。
レントゲンで確認できない「痛みの原因」
レントゲンで「根の先に膿が溜まっていない(透過像がない)」からといって、根の中に問題がないとは限りません。痛みの原因は、レントゲンに写らないほど微細な場所に隠れていることが多いのです。
原因1:複雑な枝分かれに潜む「残髄(神経の残り)」
歯の根の管(根管)は、教科書に載っているような単純な一本の管ではありません。実際には、網目状に細かく枝分かれしたり、急カーブを描いたりしています。肉眼に頼った治療では、こうした細かい枝分かれに入り込んだ神経を取り残してしまう「残髄」が起こりやすく、それが持続的な痛みの原因となります。
原因2:肉眼では確認困難な「歯根破折(ヒビ)」
歯の根に薄いヒビが入っている場合、通常のレントゲンで判別するのは至難の業です。しかし、噛むたびにそのヒビが動き、周囲の組織を刺激することで痛みが生じます。これは肉眼ではまず見えず、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)で直接中を覗かない限り、特定が難しい原因の一つです。
原因3:過去の治療による「パーフォレーション(意図しない穴)」
何度も再治療を繰り返している歯に多いのが、根の管ではない場所に穴が開いてしまう「パーフォレーション」です。手探りで治療を続ける中で、器具が本来のルートを外れて突き抜けてしまった状態です。そこから細菌が入り込み、炎症を引き起こして痛みが止まらなくなります。
【比較】保険診療の限界と、繰り返すたびに失われる「歯の寿命」
日本の保険診療は、最低限の機能を回復させるための優れた制度ですが、根管治療においては「時間の制約」と「設備の限界」という大きな壁があります。
再治療の繰り返しが、歯の強度を低下させる
保険診療では、マイクロスコープを使用せず、肉眼やルーペを用いた「手探り」の治療が主流です。暗く狭い根の中を指先の感覚だけで掃除するため、どうしても「見えない部分」が残ります。この見えない部分を補おうとして、必要以上に歯を削ってしまうケースが多々見受けられます。
過剰な拡大(削りすぎ)で本来の神経の穴を壊してしまう
本来、歯の神経の管は非常に細いものです。しかし、保険治療で「Kファイル」などのステンレス製器具を使い、手作業でグリグリと汚れを掻き出す処置を繰り返すと、本来の管の形を無視して穴がどんどん広がってしまいます。
「痛みがあるから、もっと中を掃除しましょう」と繰り返すたびに、健康な歯の壁が削り取られ、どんどん薄くなっていく。これは非常に恐ろしいことです。
何度も穴を広げると、最終的には「抜歯」しか選択肢がなくなる
歯が薄くなればなるほど、竹を割るようにパカっと割れやすくなります。これを「歯根破折」と呼びますが、こうなると現代の歯科医療でも保存は難しく、抜歯を選択せざるを得ません。痛みを治すための治療が、実は抜歯へのカウントダウンになっている……。そんな悲劇を私たちは何度も目にしてきました。
暗闇を照らす「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」で見える世界
当院では、こうした「治療の繰り返しによる抜歯」を防ぐため、マイクロスコープを用いた精密根管治療に特化しています。
肉眼の約20倍。可視化することで「削りすぎ」を防ぐ
マイクロスコープを使用すると、肉眼の約20倍まで視野を拡大できます。暗い根管の隅々まで光が届き、どこに汚れがあるのか、どこにヒビがあるのかをはっきりと確認できます。 「見えている」からこそ、汚れだけをピンポイントで除去でき、大切な歯の構造を無駄に削る(グリグリする)必要がありません。
当院が大切にしている「最小限の切削」と「最大限の除菌」
私たちは、柔軟性の高い「ニッケルチタンファイル」を使用しています。これは根のカーブに沿ってしなるため、本来の管の形を維持したまま掃除が可能です。 「歯を残す病院」として、可能な限り歯を厚く残し、破折のリスクを最小限に抑えつつ、細菌を徹底的に除去することに心血を注いでいます。
ラバーダム防湿とCTの活用
治療中は「ラバーダム」というゴムのシートを使用し、お口の中の細菌(唾液)が根管内に入るのを徹底ガードします。また、平面のレントゲンでは判別できない複雑な形状には、歯科用CTを併用し、3次元的に根の状態を把握します。
自由診療(自費)の根管治療を選ぶメリットと、知っておくべきデメリット
当院の精密根管治療は、自由診療(自費)となります。
メリット:
・成功率が飛躍的に高まり、再発のリスクを抑えられる。
・歯を削る量を最小限に抑え、歯の寿命を延ばせる。
・最新のニッケルチタンファイルや薬剤を使用し、徹底的な除菌ができる。
デメリット:
・保険適用外のため、窓口負担が大きくなる。
・精密な作業のため、一回の治療時間が1時間前後と長くなる。
費用について
・大臼歯 精密根管治療:13.2万円(税込) ※被せ物等の費用は別途となります。
「高い」と感じるかもしれません。しかし、安価な保険治療を繰り返して最終的に抜歯になり、インプラントやブリッジが必要になるコストを考えれば、自分の歯を残すことは生涯を通じて最も価値のある投資になると確信しています。
原因不明の違和感に対する、マイクロスコープ診断
私たちは、他院で「異常なし」と言われた方の痛みを、マイクロスコープ越しに何度も見つけてきました。
「すでに何度も削られて歯が薄くなっている」という場合、正直に申し上げて予後が厳しいケースもあります。しかし、それでも破折やパーフォレーション(修復不可能な穴)がない限り、私たちは全力で「残す道」を探ります。
もちろん、無理に残すことが最善ではない場合もあります。それは、実際にマイクロスコープで中を覗き、状態をこの目で確認してから、誠実にお伝えします。
まずは精密診断から。あなたの歯を残すための第一歩
今の痛みは、あなたの歯が出している「助けて」のサインかもしれません。 「どうせまた同じ治療だろう」と諦める前に、一度当院にご相談ください。最新の設備と、歯を残したいという情熱を持って、あなたの歯の「本当の原因」を突き止めます。
この記事の監修者

都筑マイクロスコープ歯科 院長
内田 宜孝
UCHIDA YOSHITAKA
「歯の神経を抜くこと」は、患者様のその後の人生を左右する大きな決断です。だからこそ、私は安易に抜髄や抜歯を選択せず、マイクロスコープを用いた精密治療で「一本でも多くの歯を救う」ことに全力を注いでいます。 かつて治療で怖い思いをした方や、諦めかけている方も、ぜひ一度ご相談ください。友人や家族に対するように、あなたの歯の未来を一緒に考え、守っていくことをお約束します。
【プロフィール】
神奈川歯科大学卒業。日本歯内療法学会、日本顕微鏡歯科学会所属。 「石井歯内療法セミナー」や「顕微鏡治療ハンズオンコース」など、高度な技術研鑽を積み、再発の少ない精密根管治療を提供している。
