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ドクターブログ
入れ歯が歯を失わせる?当院が入れ歯を推奨しない理由
「歯が抜けてしまったら、まずは入れ歯で補いましょう」 歯科業界では一般的とされるこの流れに、当院はあえて異を唱えます。それは、入れ歯が「噛めるようにする道具」であると同時に、「残っている健康な歯を壊す引き金」になり得ることを、数多くの症例を通じて痛感しているからです。
歯科医師として、患者様の10年後、20年後のお口の状態を想像したとき、目先の「とりあえず噛めるようになった」という一時的な解決が、数年後の「さらに歯を失う悲劇」に直結してしまうのを黙って見過ごすことはできません。当院が入れ歯を推奨しない本当の理由、そして一生自分の歯で噛むために選ぶべき「未来を守る治療」について、本音でお話しさせていただきます。
入れ歯がもたらす残っている歯の負担
入れ歯、特に部分入れ歯には、残っている歯に引っ掛ける「クラスプ(バネ)」が必要です。これが実は、周囲の健康な歯にとって非常に過酷な負担となります。
1. 支えている歯にかかる力の影響
入れ歯を支える歯は、食事のたびに前後左右から大きな揺さぶりの力を受けます。これは、例えるなら「健康な歯をペンチで掴んで毎日毎日揺らしている」ような状態です。 本来、垂直な力に耐えるようにできている歯にとって、横方向からかかる「側方圧」は天敵です。この力にさらされ続けた歯は、次第に根元からグラつき始め、最終的には耐えきれなくなって抜けてしまいます。1本の歯を補うための入れ歯が、支えとなった隣の歯まで道連れにしてしまう。これこそが入れ歯の恐ろしい「ドミノ倒し」の正体です。
2. 顎の骨への影響(骨吸収)
歯を失った部分の骨(歯槽骨)は、噛む刺激が伝わらなくなると「役割を終えた」と判断され、徐々に痩せていきます。入れ歯は歯ぐきの上に乗っているだけなので、骨に直接的な刺激が伝わりません。それどころか、合わない入れ歯を使い続けることで、歯ぐきが不自然に圧迫され、さらに骨が溶ける「骨吸収」を加速させてしまうこともあります。土台となる骨がなくなれば、将来的に他の治療を選択したくても難しくなってしまうのです。
3. 清掃の難しさと衛生環境
入れ歯と自歯の隙間には、どうしても食べカスやプラークが溜まりやすくなります。特にクラスプ(バネ)がかかっている歯は構造が複雑なため、セルフケアが極めて困難です。その結果、バネをかけている大事な歯が虫歯(二次カリエス)になったり、重度の歯周病に侵されたりするリスクが跳ね上がります。せっかく残っていた天然歯が、入れ歯を入れたことで病気に侵されていく…これでは本末転倒と言わざるを得ません。
入れ歯を作ったのに「使わない」ことが一番のリスク
現場で多く目にするのが、「せっかく入れ歯を作ったけれど、痛いから・違和感があるから外したままにしている」という患者様です。
実はこれが、お口全体の崩壊を最も早める危険な行為です。
噛み合わせのバランスが崩れる
入れ歯を外したまま放置すると、歯が抜けたスペースに向かって隣の歯が倒れ込んできたり、噛み合うはずだった反対側の歯が伸びてきたりします。
これによりお口全体の「噛み合わせ」が狂い、残っているすべての歯に均等に力が分散されなくなります。
いざ使う時にさらなる痛みを招く
しばらく外していた入れ歯を無理に装着すると、歯の位置が変わっているため、支台歯(バネをかけた歯)に猛烈な負担がかかります。
「痛いから使わない」→「噛み合わせがズレる」→「久しぶりに使うとさらに痛い」という、救いようのないスパイラルに陥り、最終的に「痛くて食事が楽しくなくなった」と駆け込んで来られる方が後を絶ちません。
当院が考える歯を守るための治療の選択肢
当院の揺るぎないコンセプトは、「健康な歯をなるべく削らず、一本でも多く天然歯を残すこと」です。
そのため、入れ歯のデメリットを十分にお伝えした上で、お口の状態に合わせた以下の治療をご提案しています。
インプラント(IM):他の歯を守る「身代わり」としての役割
インプラントの最大の利点は、「自立している」ことです。入れ歯やブリッジのように隣の歯を支えにしたり、削ったりする必要が一切ありません。
むしろ、欠損部分の骨を維持し、残った歯が受ける噛み合わせの負担を肩代わりしてくれる「最強の身代わり」となって、お口全体を保護してくれるのです。
精密なブリッジ(Br):隣の歯の状態を見極める
隣の歯がすでに治療済み(大きな被せ物がある状態)であれば、ブリッジも有力な選択肢となります。
ただし、隣が全く削っていない「天然歯」である場合、ブリッジにするために健康な歯を削ることは、その歯の寿命を縮めることに直結します。
当院では、「隣の歯が天然歯か、そうでないか」を厳密に診査し、安易に削ることはいたしません。患者様の将来にとって、削るリスクと削らないメリットのどちらが大きいかを真剣に議論します。
歯の移植:天然歯を活かす「第三の選択肢」
条件が整っている場合に限り、親知らずなどの不要な歯を欠損部に移植する「歯の移植」という高度な治療もご提案します。
ご自身の生体組織を活用するため非常に馴染みがよく、インプラントと同様に他の歯への負担を最小限に抑えることが可能です。
「入れ歯」を使うなら徹底してほしいケアと注意点
様々な事情により入れ歯を選択される場合、これ以上歯を失わないために、以下のケアを徹底してください。
・食事のたびの徹底洗浄: 入れ歯は細菌の温床です。食事のたびに必ず外して洗浄してください。同時に、バネがかかっていたご自身の歯も入念に磨く必要があります。
・夜間は必ず外して就寝する: 「寝ている間に外れるのが怖い」とつけっぱなしにされる方がいますが、これは非常に危険です。特に小さな部分入れ歯は、就寝中に誤って飲み込んでしまう「誤飲・誤嚥」のリスクがあります。肺や食道に詰まれば命に関わる事態になりかねません。必ず外して、専用の容器で保管してください。
・紛失と破損の防止: 入れ歯は非常にデリケートです。洗面所での落下による破損や、ティッシュに包んで捨ててしまうといった紛失が非常に多いため、管理場所を固定しましょう。
まとめ:あなたの歯の寿命を左右するのは「今の選択」です
「とりあえず保険の入れ歯でいいや」というその場しのぎの決断が、5年後、10年後のあなたから「美味しく食べる喜び」や「健康な歯」を奪ってしまうかもしれません。
当院は、あなたが一生自分の歯で笑い、大好きな食事を楽しみ続けられるよう、妥協のない診断を行います。他院で「入れ歯しかない」と告げられた方も、決して諦めないでください。 「本当にこのままでいいのか?」という疑問を抱かれたなら、ぜひ一度当院へご相談ください。今のあなたにとって、本当の意味で未来を守るための「最善の答え」を一緒に見つけましょう。
24時間Web予約受付中
以下のリンクより、空き状況の確認・予約が可能です。
【初診の方へ】 初診時は、お口全体の健康状態を把握するため「診査・診断」を優先させていただきます。当日のクリーニングは行っておりませんので、あらかじめご了承ください。まずは現在の状態をしっかり把握することから始めましょう。
この記事の監修者

都筑マイクロスコープ歯科 院長
内田 宜孝
UCHIDA YOSHITAKA
「歯の神経を抜くこと」は、患者様のその後の人生を左右する大きな決断です。だからこそ、私は安易に抜髄や抜歯を選択せず、マイクロスコープを用いた精密治療で「一本でも多くの歯を救う」ことに全力を注いでいます。 かつて治療で怖い思いをした方や、諦めかけている方も、ぜひ一度ご相談ください。友人や家族に対するように、あなたの歯の未来を一緒に考え、守っていくことをお約束します。
【プロフィール】
神奈川歯科大学卒業。日本歯内療法学会、日本顕微鏡歯科学会所属。 「石井歯内療法セミナー」や「顕微鏡治療ハンズオンコース」など、高度な技術研鑽を積み、再発の少ない精密根管治療を提供している。
