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親知らずは「抜く」のが当たり前?実は残せる・使えるケースがあります

「親知らずが生えてきたら、痛くなくても抜かなければならない」と思っていませんか?

実は、歯科医師の視点から見ると、健康に生えている親知らずは「天然のスペアタイヤ」のような貴重な価値を持っています。

当院では、親知らずがまっすぐ生えており、上下で噛み合っている場合や、将来的に役立つ可能性がある場合は、無理に抜歯を勧めることはありません。それは、親知らずが将来「歯の移植」に使える可能性があるからです。

 

失った場所に自分の歯が戻る「歯の移植(再植)」という選択肢

もし将来、他の大事な奥歯を虫歯や破折で失ってしまったとき、残しておいた親知らずをその場所へ移し植える「自家歯牙移植」という治療法があります。 インプラントという優れた人工物もありますが、自分の歯には「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような組織があり、噛んだ時の感覚が天然歯に非常に近いという大きなメリットがあります。将来の自分のための「備え」として親知らずを温存する、という選択肢を当院は大切にしています。

 

【判断基準】こんな親知らずは、隣の歯を守るために「抜歯」を推奨します

一方で、親知らずが原因で「他の健康な歯」を道連れにしてしまう場合は、早めの抜歯が必要です。

1. 隣の歯(7番)を虫歯にしてしまうリスクがある場合

親知らずが斜めに生えていると、手前の歯(第2大臼歯:7番)との間に深い隙間ができます。ここはどんなに丁寧にブラッシングをしても汚れが取れず、親知らずだけでなく、非常に重要な7番の歯まで深い虫歯にしてしまうケースが後を絶ちません。7番を守るために親知らずを抜く、これはお口全体の寿命を延ばすための英断となります。

2. 歯ブラシが届かず、何度も歯肉の炎症を繰り返す場合

親知らずの周辺が腫れて痛む「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」を繰り返している場合、体調不良のたびに再発するリスクがあります。慢性的な炎症は周囲の骨を溶かしてしまうこともあるため、清掃状態が改善できない場合は抜歯を検討します。

3. 親知らず自体が大きな虫歯になり、保存が難しい場合

お口の一番奥にある親知らずは、治療器具が届きにくく、精密な治療が困難な場所です。一度大きな虫歯になってしまうと、再発のリスクを抑えた完璧な治療が難しいため、将来への影響を考えて抜歯を選択することが一般的です。

 

インプラントに抵抗がある方へ。親知らずの「移植」という可能性

自分の組織だから馴染みがいい。インプラントとの大きな違いとは?

「歯を失ったらインプラントしかない」と考えている方に、ぜひ知っていただきたいのが「移植」です。

自分の歯を別の場所に植え替えるため、拒絶反応が少なく、体にとって非常に馴染みが良いのが特徴です。

また、インプラントは骨と直接結合しますが、移植した歯は自分の組織である「歯根膜」を介して骨とつながるため、噛んだ時の絶妙な感触(噛み応え)が残ります。

移植ができる条件:親知らずの状態と、受け入れる側の骨の厚み

ただし、すべての親知らずが移植に使えるわけではありません。

・親知らずの根の形が、移植先の骨の形状と合うか

・移植する歯自体が健康的で、細菌感染していないか

・受け入れる側の骨に十分な厚みと高さがあるか これらの条件が揃って初めて、移植という選択肢が現実味を帯びてきます。

成功の鍵は「精密な診査診断」。CT撮影で可視化するリスクと可能性

移植ができるかどうかを判断するには、肉眼や平面のレントゲンだけでは不十分です。当院ではCT撮影などの精密な診査診断を行い、骨の厚みや神経の位置、歯の根の複雑な形状を立体的に把握します。この「事前の見極め」が、治療の成功率を大きく左右します。

 

【Q&A】親知らず抜歯の「怖い・痛い・抜けない」を解消

Q. 下の親知らずを抜くのが「危険」と言われたのですが?

下の親知らずのすぐ近くには「下歯槽管(かしそうかん)」という、神経と太い血管が通る管があります。親知らずの根がこの管に非常に近い、あるいは接している場合、抜歯の際に神経を傷つけ、唇に麻痺が残るなどのリスクが生じます。このようなケースでは、特に慎重な判断が求められます。

Q. なぜ開業医ではなく「大学病院」を紹介されることがあるのですか?

上述した下歯槽管に近いケースや、完全に骨の中に埋まっている難症例の場合、万が一の合併症に即座に対応できる環境(口腔外科の専門設備や体制)で抜歯を行うのが、患者様にとって最も安全だからです。 当院では、CT診断の結果リスクが高いと判断した場合は、無理に自院で抜歯を行わず、適切な医療機関をご紹介しています。

Q. 親知らずを移植する場合、保険は効きますか?

条件によりますが、歯を抜いたその日に親知らずを移植するなど、一定のルールを満たせば保険適用となる場合があります。ただし、高度な技術を要するため、当院では自費診療での精密な移植をご提案する場合もあります。まずはご自身の状態を確認するための診断が必要です。

 

当院が徹底している「難症例」へのリスク管理

下歯槽管(神経・血管)との距離をCTでミリ単位で計測

当院では、親知らず抜歯の前に、必ず解剖学的なリスクを確認します。神経までの距離、根の曲がり具合などを事前に知ることで、安全でスムーズな処置が可能になります。

無理な抜歯はしない。大学病院とのスムーズな病診連携体制

「当院で抜けない」という判断は、決して責任逃れではなく、患者様の安全を第一に考えてのことです。 近隣の大学病院や、高度な口腔外科を備えた病院と連携しております。「家の近くの病院がいい」「職場に近い大学病院がいい」など、患者様のご希望があれば、ご指定の病院宛に紹介状を作成いたします。安心して最適な環境で処置を受けていただけます。

 

まとめ:あなたの親知らず、抜く前に「価値」を調べませんか?

一生の健康を見据えた、後悔しない親知らずの選択

親知らずは「ただの邪魔者」ではありません。適切に管理すれば、将来あなたの歯を救う救世主になるかもしれない「資産」です。 逆に、放置することで他の歯の寿命を縮めてしまう「爆弾」になる可能性もあります。大切なのは、自分の親知らずが現在どのような状態にあり、将来どのようなリスクや可能性があるのかを、正しく知ることです。

まずは精密検査で「残せるか・抜くべきか」を診断しましょう

当院では、マイクロスコープやCTを用いた精密な診査により、一本一本の歯の可能性を追求しています。親知らずの抜歯を迷っている方、インプラント以外の選択肢を探している方は、ぜひ一度ご相談ください。 あなたの10年後、20年後を見据えた、最適なご提案をさせていただきます。

 

この記事の監修者

都筑マイクロスコープ歯科 院長

UCHIDA YOSHITAKA

「歯の神経を抜くこと」は、患者様のその後の人生を左右する大きな決断です。

だからこそ、私は安易に抜髄や抜歯を選択せず、マイクロスコープを用いた精密治療で「一本でも多くの歯を救う」ことに全力を注いでいます。

かつて治療で怖い思いをした方や、諦めかけている方も、ぜひ一度ご相談ください。友人や家族に対するように、あなたの歯の未来を一緒に考え、守っていくことをお約束します。

【プロフィール】

神奈川歯科大学卒業。日本歯内療法学会、日本顕微鏡歯科学会所属。

「石井歯内療法セミナー」や「顕微鏡治療ハンズオンコース」など、高度な技術研鑽を積み、再発の少ない精密根管治療を提供している。

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