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ドクターブログ
歯にヒビが入ったら抜歯?残せる基準と「10年保証」を活かして自分の歯を守り抜く方法
「冷たいものがしみる」「噛んだときに一瞬ピリッと痛む」——そんな症状がある場合、歯に「ヒビ(クラック)」が入っている可能性があります。虫歯ではないのに痛みが出るこの症状は、現代人に非常に増えています。
1. なぜ「歯にヒビ」が入るのか?その原因と放置するリスク
知らずに進行する「歯のひび割れ(クラック)」の正体
歯の表面のエナメル質に浅く入ったヒビであれば、すぐには大きな問題になりません。しかしヒビが象牙質(歯の内部)まで達すると、噛むたびにヒビが開き中の神経を刺激して痛みを感じるようになります。さらに深刻なのは、ヒビから細菌が入り込み歯の内部で感染を起こすことです。
噛む力が強い人は要注意。歯が悲鳴を上げているサイン
ヒビの最大の原因は虫歯ではなく「過度な負担」です。無意識のうちに行っている「食いしばり」、睡眠中の激しい「歯ぎしり」、硬いものを好んで食べる習慣——これらは、ご自身の体重以上の力が歯にかかっていることも珍しくありません。特に過去に神経を取って脆くなっている歯は、枯れ木のように割れやすいため細心の注意が必要です。
2. 【判断基準】その歯は残せる?それとも抜歯?
患者様にとって最も気になるのは「この歯を残せるのか」という点でしょう。当院では、マイクロスコープ等を用いた精密な診断を行い、以下の基準で判断しています。
治療ができるケース:ヒビが完全に除去できる場合
歯の頭の部分(歯冠部)に留まっており、削ることでヒビがすべて取り切れる場合は歯を残すことが可能です。ヒビを徹底的に除去し、その上から精密な被せ物で補強することで、ヒビがそれ以上に広がるのを防ぎます。
抜歯を推奨するケース:根の先端までヒビが達している場合
残念ながら、ヒビが根の先端(根尖)まで達してしまっている場合は、抜歯が最善の選択となることが多いです。
なぜ根管治療をしても治らないヒビがあるのか?
「根管治療(根の掃除)をすれば治るのでは?」と思われるかもしれません。しかし根の先まで入ったヒビは、細菌にとっての「高速道路」のようなものです。どんなに精密な根管治療を行っても、ヒビの隙間に潜む細菌を完全に殺菌することは不可能です。治療後もヒビから感染が続き、根の病気が治らなかったり数年後に歯が真っ二つに割れてしまったりするリスクが極めて高いのです。
3. 当院の治療方針:歯を守るための「被せ物」と「マウスピース」
ヒビが除去でき歯を残せると判断した場合には、再発を防ぐための「守りの治療」へと移行します。
削って終わりではない。噛み合わせの負担を分散する精密な被せ物
ヒビが入った歯は再び割れるリスクを抱えています。そのため保険診療の詰め物(レジンや銀歯)ではなく、歯全体を強固に保護できる「自費診療の被せ物(クラウン)」を推奨しています。
セラミック・ジルコニア(16.5万円):汚れがつきにくく歯と強固に接着するため、二次虫歯や破折のリスクを抑えます。
ゴールド(16.5万円+金属時価分):適合性に優れ歯に馴染みやすいため、特に噛む力が強い方に適しています。
マウスピース(ナイトガード)の着用をお願いする本当の理由
被せ物を装着しただけで安心するのは禁物です。ヒビを作った「根本的な原因(噛む力)」は変わっていないからです。当院では噛み合わせが強い方には必ずマウスピースの使用をお願いしています。
保険診療のマウスピース:夜間、歯にかかる衝撃を和らげる「ハードタイプ」を作製可能です。違和感の少ない薄めの設計を心がけています。
自費診療のマウスピース(3.3万円):日常生活(日中の食いしばり等)でも使用できる、さらに違和感の少ない極薄タイプもご用意しています。
治療後の「再発」を防ぐために、患者様に守っていただきたいこと
マウスピースは「歯の身代わり」になって削れたり割れたりしてくれる消耗品です。これをサボってしまうと、せっかくの被せ物やその下の土台、そして大切なご自身の歯が再び割れてしまうことになります。
4. 【安心の10年保証】自費診療の価値と保証制度の注意点
被せ物の破損・脱離に対する「10年間の無償作り直し保証」
装着したセラミックやジルコニアなどの被せ物が欠けたり外れたりした場合には、10年間無償で作り直しをいたします。これは当院が提供する治療の品質に対する自信の表れでもあります。
※重要※ 保証対象外となる「ご自身の歯が割れた場合」について
保証の対象となるのはあくまで「被せ物(人工物)」です。「ご自身の歯(根っこ)」が割れてしまい抜歯が必要になった場合は、保証の対象外となります。どれほど強固な被せ物をしても、土台となるご自身の歯が耐えきれなくなればその歯を維持することはできません。だからこそ、歯の身代わりとなる「マウスピース」の着用が、保証を有効に活用し続けるための必須条件となります。
保証を「お守り」にするために、定期メンテナンスが不可欠な理由
10年保証を継続していただくためには、数ヶ月に一度の定期メンテナンスへの来院をお願いしています。噛み合わせにズレが生じていないか、マウスピースが正しく機能しているかをプロの目でチェックし続けることが、結果として患者様の歯を守ることにつながります。
5. まとめ:一生自分の歯で美味しく食べるために、今できる最善の選択を
- 「噛むとピリッと痛む」「虫歯でないのに染みる」は歯のヒビ(クラック)のサイン
- ヒビの主な原因は食いしばり・歯ぎしり・硬いものを噛む習慣——神経を取った歯は特に割れやすい
- 歯冠部に留まるヒビは除去・精密被せ物で保存可能。根の先まで達したヒビは抜歯が最善のことが多い
- 根管治療でも根まで達したヒビは完治が難しく、再感染・破折リスクが極めて高い
- セラミック・ジルコニア or ゴールドクラウン+マウスピースの組み合わせが再発防止の基本セット
- 自費診療には10年保証を設けているが、保証対象は「被せ物」のみ——マウスピース着用と定期メンテが条件
「治せる歯」は全力で、最高の素材とマウスピースで守り抜く。「治せない歯」は将来の負担を見据えて誠実にお伝えする。それが当院のプライドであり、患者様への誠実さであると考えています。
歯に違和感がある方、他院で抜歯と言われたけれど納得がいかない方は、ぜひ一度当院へご相談ください。精密な診査のもと、あなたにとっての「最善」を一緒に考えていきましょう。
