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ドクターブログ
他院で「抜歯」と言われたら|歯を残せるか見極める精密検査
「何ヶ月も根の治療に通っているのに、なかなか痛みが引かない」「他院で『根の病気が進行しているから抜歯するしかない』と言われてショックを受けている」——このようなお悩みで初診に来られる患者様が数多くいらっしゃいます。通院を続けてきたのに「抜くしかない」と言われると、つらい気持ちになるものです。
ただ、諦める前に一度立ち止まってみてください。他院で抜歯と診断された歯でも、「なぜ治らないのか」の原因を精密に突き止めることで、残せる可能性が見つかることがあります。また、仮に抜歯が避けられない場合でも、「なぜ抜く必要があるのか」を納得したうえで次のステップへ進むことは、今後のお口の健康にとって大切です。
今回は、当院が初診時の「精密検査」を大切にしている理由と、「残せる歯」と「抜くべき歯」の境界について解説します。(精密根管治療の技術的な詳細は、別記事でも解説しています。)
なぜ他院で「抜歯」と言われた歯を残せる場合があるのか
根の治療を繰り返しても治らない原因
保険診療の一般的な根管治療は、条件によって手探りの処置になりやすい面があります。歯の根の中の「根管」は髪の毛よりも細く複雑に枝分かれしているため、肉眼だけで細菌を取り除くのは容易ではありません。また、保険制度の制約上、1回の治療にかけられる時間や使用できる器具にも一定の限界があります。何度治療しても治らないのは体質のせいではなく、肉眼では見えにくい取り残された細菌が根の奥で残っていることが原因の場合があります。「治らないから抜く」のではなく、「原因が見えていないために治りにくい」ケースがあるのです。
精密な根管治療における「マイクロスコープ」の役割
当院では、他院で抜歯と診断された難しいケースに対して、視野を拡大できる「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」を用いた自費の精密根管治療(16.5万円・税込)を行っています。暗く狭い根管の内部を照らし、確認しながら治療を進めるため、感染部位の取り残しを抑えやすくなります。他院で見落とされていた細い根管や、過去の治療で残った古い薬剤なども除去しやすく、保険診療に比べて成功率を高めやすくなります。
細菌の侵入を抑える「ラバーダム防湿」
根管治療で重要なもう一つの点が、お口の中の細菌(唾液)を治療部位に入れないことです。唾液には多くの細菌が含まれ、治療中に根管内へ入り込むと、清掃しても再発の原因になることがあります。当院では、治療する歯だけを隔離するゴム製のシート「ラバーダム」を使用し、清潔な環境に近づけて治療の確実性を高めています。マイクロスコープとラバーダムを組み合わせることで、他院で「残せない」と言われた歯を残せる場合があります。
「残せる歯」と「抜歯が適応となる歯」の境界
残せる可能性が高い状態
当院の精密検査では、レントゲンだけでなく、必要に応じて3次元的な画像診断ができる「歯科用CT」を使用します。骨の状態や根の形状を立体的に把握し、院長が診断します。検査の結果、根の先に膿の袋(根尖病変)があっても、歯の構造がしっかり残っており、精密根管治療で細菌を除去できる見込みがあれば、「残せる可能性が高い」と判断して治療を行います。
抜歯を検討する状態①:歯の破折・ヒビ
設備を用いても残すことが難しく、抜歯を検討せざるを得ないケースもあります。その代表例が「歯の破折(ヒビ)」です。根の治療を繰り返してもろくなった歯や、強い力がかかり続けた歯は、根の深い部分で縦に割れてしまうことがあります。細いヒビでもそこから細菌が侵入するため、根の中を清掃しても炎症が治まりにくくなります。精密検査(CTやマイクロスコープでの観察)でヒビが確認された場合は、周囲の骨への影響を抑えるために、抜歯をご提案することになります。
抜歯を検討する状態②:パーフォレーション(穴)
もう一つが、過去の治療などで根管の壁に穴が開いてしまった状態(パーフォレーション)です。本来穴があってはいけない場所に穴が開くと、そこから周囲組織へ細菌が感染し、痛みや膿の原因になります。穴の位置や大きさによってはMTAセメントなどで修復できることもありますが、中の状態や予後(治療後の経過予測)が良くないと判断される場合は、抜歯を選択することが適切な場合もあります。
なぜ「抜くべき」なのか|無理に治療を続けるリスク
状態が悪いまま無理に治療を続けると
「悪くてもいいから、抜かずに治療を続けてほしい」というお気持ちは理解できます。しかし、予後が良くない歯に無理に根管治療を続けることには、リスクがあります。治らない感染源をそのままにすると、歯を支える顎の骨が溶けて減っていくことがあります。骨が大きく失われると、抜歯後に次の治療を行うことが難しくなります。
次のステップへ進むための判断
お口全体の将来を考えると、残せない歯を見極めて次に進むことは、周囲の健康な骨や隣の歯を守るための前向きな判断です。精密検査でご自身の歯の現状を知ることで、終わりの見えない治療に時間と費用を費やす負担から離れ、お口の健康を取り戻すための計画を立てやすくなります。
当院が初診の精密検査で「診断料」をいただく理由
抜歯・インプラントへの切り替えも視野に入れた診断
当院では、初診時の精密検査に際して、該当する可能性がある患者様に事前に次のようなご説明を行い、ご納得いただいてから処置に入ります。精密に中を確認していく過程で、事前の想定を超える破折やパーフォレーションが見つかり、途中で精密根管治療(16.5万円)を断念して「抜歯」や「インプラント(IM)」へ方針を切り替える場合、治療費全額ではなく「診断料として3.3万円(税込)」のみをいただいています。
これは、最初から自費治療を前提とするのではなく、中の状態を評価し、患者様にとって不利益にならない選択肢を提示するためのプロセスに対する費用です。
後悔のない決断をしていただくために
今の状態でどのくらい残せる見込みがあるのか、抜歯になった場合はどうなるのか、初診時にできるだけ可視化します。時間や費用を無駄にしないため、そして患者様ご自身が「この結果なら納得して次を選べる」と思える決断をしていただくために、精密な検査と診断を行っています。
抜歯となった後の選択肢
インプラント(IM)または適切なブリッジ
精密検査の結果、抜歯という結論に至った場合、当院ではその後の補綴治療(歯を補う治療)として「インプラント」または「適切なブリッジ」をご提案しています。どちらを選ぶかは、欠損した両隣の歯の状態(すでに削られているか、削られていない健全な歯かなど)を確認し、それぞれのメリット・デメリットをご説明したうえで、お口全体の健康を長持ちさせやすい方法を検討します。
当院で入れ歯・銀歯のブリッジを原則行わない理由
当院では、抜歯後の選択肢として、部分入れ歯や銀歯によるブリッジは原則として行っていません。部分入れ歯は、支えとなる歯にバネをかけるため、その歯に負担がかかることがあります。また、銀歯のブリッジも、歯との隙間から二次虫歯が生じることがあります。「1本の歯を失ったことをきっかけに、他の歯にも影響が及ぶことを避けたい」という考えから、当院では他の歯への負担が少ない選択肢を中心にご提案しています。治療方針の考え方は歯科医院によって異なりますが、当院ではこの方針をとっています。
まとめ|まずは歯の「現在地」を知ることから
保険の治療には制度上の制約があり、「何度も治療しても治らないから抜歯」と言われることには、やむを得ない側面もあります。一方で、マイクロスコープやラバーダム、CTを用いた自費の精密根管治療であれば、歯を残せる可能性が残っている場合があります。
大切なのは、まず精密な検査で、ご自身の歯が今どういう状態かという「現在地」を正しく知ることです。残せる見込みがあるなら精密に治療する。破折などがあり抜歯が適切なら、他の歯を守るために次のステップ(インプラントや適切なブリッジ)へ進む。
「もう抜くしかない」と一人で悩まず、一度、当院の精密検査にご相談ください。精密な診断をもとに、今後の選択肢を一緒に考えます。
