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ドクターブログ
他院で「神経を抜く」と言われた方へ|歯髄温存療法(VPT)で歯を守る選択
「大きな虫歯があるので、神経を抜かなければいけません」
他院でそのように診断され、ショックを受けたり不安を感じたりして当院を訪れる患者様が、近年非常に増えています。
「本当に神経を抜くしかないのだろうか?」
「できることなら、自分の大切な神経を残したい…」
そのように悩まれるのは、ごく自然なことです。実は、虫歯が神経のすぐ近くまで達している場合でも、条件が揃えば神経を残せる「歯髄温存療法(VPT:Vital Pulp Therapy)」という治療選択肢が存在します。
今回は、なぜ他院で抜髄(神経を抜くこと)と言われてしまうのか、歯髄温存療法とはどのような治療なのか、そして当院が徹底している精密な虫歯治療プロトコールについて詳しく解説します。
神経を抜くとどうなる?歯の寿命が約20年縮む理由
歯の神経(歯髄:しずい)は、単に痛みを伝えるためだけに存在しているわけではありません。歯髄の中には無数の毛細血管が走っており、歯に対して常に酸素や栄養分を供給する重要な役割を果たしています。
1. 栄養供給が絶たれ、歯が脆くなる
神経を抜いてしまった歯は、例えるなら「枯れ木」のような状態になります。血液からの栄養補給が止まるため、水分や弾力性が失われ、歯自体が非常に脆くなってしまいます。
2. 破折(歯が割れる)リスクの急増
脆くなった歯は、日々の噛み合わせの力や歯 trustee(歯ぎしり・食いしばり)に耐えきれず、根元からバキッと割れてしまう「歯根破折」を起こしやすくなります。歯の根が割れてしまった場合、現代の歯科医療でも保存は極めて困難となり、最終的には「抜歯」を選択せざるを得ません。
3. 歯の寿命は「約20年」短くなる
一般的に、神経を抜いた歯は健全な歯に比べて寿命が約20年縮むと言われています。歯を生涯にわたって残し、自分の歯で食事を楽しむためには、「可能な限り神経を残すこと」が何よりも重要なのです。
歯髄温存療法(VPT)とは?保険治療との違いと自費(自由診療)になる理由
「歯髄温存療法(VPT)」とは、虫歯が深くまで進行して神経(歯髄)の近くまで達している、あるいは神経が一部露出してしまった場合に、神経全体を取り死なせるのではなく、神経を生かしたまま保護して残す治療法です。
なぜ保険治療では「歯髄温存療法」ができないのか?
結論からお伝えすると、日本の公的医療保険制度のもとでは、高度な歯髄温存療法を行うことができません。その最大の理由は、治療に使用する「材料」と「使用機器」が保険適用外(自費診療)となっているためです。
保険診療で使われる従来の覆髄(ふくずい)材料は、封鎖性や殺菌性において限界があり、神経を残そうとしても後から細菌感染を起こして結局神経が死んでしまうケースが少なくありませんでした。そのため、保険診療のルールや制限内では「確実に病巣を断ち切るために神経を抜く」という選択が一般的になってしまうのです。
先進材料「MTAセメント」の圧倒的な封鎖性と殺菌力
当院の歯髄温存療法では、世界的に高い成功率が報告されている「MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメント」という特殊な材料を使用します。
MTAセメントには以下のような優れた特徴があります。
・強力な封鎖性: 固まる際にわずかに膨張するため、微細な隙間もぴったりと塞ぎ、細菌の侵入を徹底的にブロックします。
・強いアルカリ性による殺菌作用: 高いpH値を持ち、残存する微小な細菌を滅菌・不活性化します。
・人体への高い親和性と象牙質形成: 組織になじみやすく、神経を守るための新しい歯の組織(象牙橋)の形成を促します。
このMTAセメントをはじめとする最先端材料を使用し、徹底した無菌的処置を行うため、歯髄温存療法は自費(自由診療)でのご提供となります。
【徹底比較】保険の虫歯治療 vs 自費の歯髄温存療法(VPT)
保険診療で行う一般的な虫歯治療・抜髄治療と、当院が行う自費の歯髄温存療法(VPT)の違いを分かりやすく比較しました。
| 比較項目 | 保険の虫歯治療・抜髄 | 自費の歯髄温存療法(VPT) |
| 神経の保護 | 難しい場合は神経を抜く(抜髄) | 可能な限り神経を生かして残す |
| 使用する機器 | 肉眼またはルーペでの作業 | マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を必須使用 |
| 唾液・細菌遮断 | 簡易防湿(綿による防湿など) | ラバーダム防湿を徹底 |
| 使用する材料 | 水酸化カルシウム等(保険適用内) | MTAセメント等(高い封鎖性・殺菌性) |
| 将来の歯の寿命 | 約20年縮むリスクがある | 健全な歯と同等の寿命維持を目指せる |
| 費用 | 保険適用(数千円程度) | 自由診療(精密検査・処置費用が必要) |
精密な診断と処置がカギ!当院の歯髄温存療法のこだわり
歯髄温存療法は、単にMTAセメントを塗れば成功するわけではありません。ミクロン単位の精密な作業と、厳格な衛生管理が不可欠です。
1. マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)による精密な虫歯除去
当院では、視野を数十倍に拡大できる「マイクロスコープ」を必ず使用します。肉眼では見えづらい微細な虫歯や神経の露出部分を拡大して正確に確認し、正常な歯格を可能な限り残しながら、虫歯だけを極限まで精密に除去します。
2. ラバーダム防湿による無菌的環境の確保
治療中の歯に唾液が一滴でも触れると、唾液中に存在する無数の細菌が神経に感染し、治療は失敗してしまいます。当院では、治療する歯だけをゴムのシートで隔離する「ラバーダム防湿」を徹底的に行い、無菌的な空間を作り出して処置を行います。
3. 「生きていれば残す・壊死していれば根管治療」適確な診査診断
虫歯を取り除き、神経の穴が露出した際、当院では神経が出血の様子や色、状態をマイクロスコープ下で厳密に観察します。
・神経が生きていて残せると判断した場合: 歯髄温存療法(VPT)を行い、神経を保護して残します。
・神経がすでに感染・壊死していると判断した場合: 無理に残さず、感染を取り除く精密根管治療へ移行します。
嘘偽りのない精密な診査診断を行うことこそが、患者様の将来の歯を守る一番の近道です。
安心して治療を受けていただくための「当院の虫歯治療プロトコール」
「何をされるか分からないまま治療が進むのが怖い」という患者様の不安を解消するため、当院では独自の「虫歯治療プロトコール(標準手順)」を定めています。
1. 初診時の事前説明と分岐ルートの解説
当院では初診時にいきなり歯を削ることはありません。まずは精密な診査を行い、以下のように虫歯の深さによってどのような治療ルートを進むことになるのかを、事前に分かりやすくご説明いたします。
1.虫歯の除去: マイクロスコープ下で精密に虫歯を取り除きます。
2.神経の判定:
・神経が生きていれば ➔ 歯髄温存療法(VPT)で神経を残す
・神経が壊死していれば ➔ 精密根管治療で根の中をキレイにする
3.修復物の選択: 残った歯の量に応じて、ダイレクトボンディング/インレー(詰め物)/クラウン(被せ物)を選択
2. 強制は一切なし!納得いただいてからの治療開始
実際に虫歯を削ってみて、どれだけご自身の歯が残っているかによって適した詰め物・被せ物は変わります。
当院では「この詰め物にしてください」と強制することは一切ありません。それぞれの修復物におけるメリット・デメリット、耐久性、費用などを丁寧にお伝えした上で、患者様ご自身に納得のいく選択をしていただきます。気になることや不安な点がございましたら、その場でどのようなことでもお気軽にご質問ください。
すべての説明にご納得いただいてから、次回より本格的な治療をスタートいたします。
歯髄温存療法(VPT)の費用と注意点(リスクの開示)
患者様に安心して治療を選択していただくため、当院では費用およびリスクについても誠実に開示しております。
費用の目安
・精密虫歯治療費: 33,000円(税込)
※虫歯が存在し、精密除去を行う場合にかかります。虫歯がない場合は発生しません。
・歯髄温存療法費(VPT): 66,000円(税込)
※MTAセメントの使用、ラバーダム防湿、マイクロスコープ処置を含みます。
※上記に加え、最終的な仕上げとなる詰め物・被せ物(ダイレクトボンディング、インレー、クラウン)の費用が別途発生します。状態に応じた詳細は初診時に詳しくお伝えいたします。
注意点とリスク(ネガティブ情報の開示)
・100%神経を残せるわけではありません: 診査の結果、神経の炎症が深くまで進行していたり壊死していたりする場合は、歯髄温存療法が適応外となり根管治療が必要になることがあります。
・一時的なしみる症状: 治療後、一時的に冷たいものや熱いものがしみる症状が出ることがあります(通常は組織の回復とともに落ち着いていきます)。
・経過観察が必要です: VPTを行った後は、神経が正常に生き続けているかを確認するため、定期的な経過観察(レントゲン検査や歯髄電気診断など)にお越しいただく必要があります。
一生涯の自分の歯を残すために、諦める前にご相談ください
他院で「神経を抜かないといけない」と言われたとき、多くの患者様が「本当に抜かなければいけないのだろうか…」と深い不安を抱えられます。その中で「歯髄温存療法」という選択肢を知り、希望を持って当院を探し当ててくださる方がたくさんいらっしゃいます。
ご自身の歯を長く守るために大切なのは、「疑問に思ったときに諦めず、自分で調べてみること」です。
もし他院で「神経を抜くしかない」「VPTは難しい」と言われた場合でも、すぐに諦める必要はありません。マイクロスコープを備え、歯髄温存療法に精通した別の歯科医院でセカンドオピニオンを受けることを強くおすすめします。納得のいく説明を受け、ご自身が心から納得して治療を受けることが、後悔しない歯科治療への一番の第一歩です。
「大切な歯の神経を残したい」「自分の歯の寿命を延ばしたい」とお考えの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
当院では、ホームページからのWeb予約をはじめ、お電話や公式LINEからも気軽にご予約・ご相談を承っております。あなたの知識と歯を守るために、私たちが全力でサポートいたします。
