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「神経を抜く」と言われる前に。歯の寿命を守る「歯髄温存療法(MTA)」と精密虫歯治療の重要性

他院で「神経を抜きましょう」と言われたあなたへ

「虫歯が深いので、神経を抜く処置をしますね」
歯科医院でこう告げられたとき、多くの方が「痛みがなくなるなら仕方ない」と受け入れてしまいます。しかし、歯科医療に携わる立場からお伝えしたいのは、**「神経を抜くことは、その歯の寿命を大きく縮めるきっかけになり得る」**という厳しい現実です。

一度神経を抜いてしまった歯は、二度と元の状態には戻りません。そして、その歯が20年後、30年後も残っている可能性は、神経がある歯に比べて低くなる傾向があります。今、あなたが直面しているのは、単なる虫歯治療ではなく「ご自身の歯を長く使い続けられるかどうかの大切な分かれ道」なのです。

「神経を抜く=歯の寿命を縮めるリスク」という事実

歯の神経(歯髄)には、血管が通っています。この血管を通じて歯に栄養や水分が運ばれ、歯の強度や柔軟性が保たれています。神経を抜くということは、このライフラインを断絶することを意味します。
栄養が届かなくなった歯は、いわば「枯れ木」のような状態に近づきます。水分を失った木がもろく折れやすいように、神経を失った歯も噛む力に耐えきれず、破折(割れること)のリスクが高まります。歯が根元まで割れてしまった場合、現代の歯科医療でも「抜歯」せざるを得ないケースが多くなります。

なぜ、通常の虫歯治療で神経が露出すると「抜髄」になることが多いのか?

虫歯治療において、削っている最中に神経の部屋(歯髄腔)が露出してしまうと、「神経を抜く処置(抜髄)」に移行するケースが少なくありません。
これは、保険診療の枠組みの中では使用できる薬剤や時間に制限があり、唾液からの細菌感染を防ぎながら神経を保護する処置が制度上難しいためです。しかし当院では、状況が許す限り**「露出しても神経を残す」**ための治療の選択肢をご用意しています。

神経を抜くと、あなたの歯はどう変わってしまうのか?

「痛みがなくなるならいいじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、神経を失うことには様々なリスクが伴います。

・栄養が届かなくなり、脆くなるリスク

先述の通り、神経を失った歯(失活歯)は水分を失い、脆くなります。強い食いしばりなどの力がかかった際、ご自身の噛む力だけで歯の根っこが割れてしまうことがあります。

・痛みを感じないからこそ、異変に気付くのが遅れるリスク

神経がある歯は、再び虫歯になれば「痛み」という信号で異常を知らせてくれます。しかし、神経がない歯は、中で虫歯が再発しても(二次カリエス)、根の先に膿が溜まっても、痛みを感じにくい傾向があります。気づいた時には歯の根元まで虫歯が進行しており、抜歯を宣告されるケースも珍しくありません。

将来の歯の残存数に差が出る理由

統計的にも、神経を残せた歯と抜いてしまった歯では、その後の歯の寿命に差が出ることが分かっています。神経を抜いた歯は、根管治療の再発や歯根破折によって、将来的に失われるリスクが高まります。ご自身の歯で長く食事を楽しみたいのであれば、可能な限り「神経」を守ることが重要です。

当院が「安易に削らない・抜かない」ために取り組んでいること

当院は「歯を残す、守る」ことを第一に考えています。そのため、虫歯治療においても精密な処置を心がけています。

・【必須設備】マイクロスコープで虫歯を的確に除去

肉眼では見えない細部を最大20倍まで拡大できる「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」を、当院では虫歯治療の段階から活用しています。明るく拡大された視野で「どこまでが虫歯で、どこからが健康な歯か」を見極め、健康な歯をなるべく削らず、虫歯だけを取り除くよう努めています。この精密な処置が、神経を残せるかどうかの鍵となります。

・【感染防止】ラバーダム防湿による無菌的環境の追求

当院では、「ラバーダム(ゴムのマスク)」の使用も重視しています。虫歯治療や根管治療において、お口の中の細菌(唾液)が治療部位に侵入することは極力避けなければなりません。当院では、清潔な環境を維持し、再発リスクを下げるためにラバーダムを装着した処置を行っています。

精密な治療を提供する理由

保険診療は誰もが一定の治療を受けられる優れた制度ですが、マイクロスコープやラバーダムを活用し、時間をかけて行う精密治療を提供するには、制度上の限界があるのも事実です。
当院の精密虫歯治療(C処:3.3万円/税込)は、再発を防ぎ、神経を守るための選択肢として、設備と技術を投入した自費診療となります。

神経が露出しても諦めない。「歯髄温存療法(MTA)」とは?

もし、虫歯を取り除いた結果、神経の一部が見えてしまった場合、当院では**「歯髄温存療法(VPT)」**という選択肢をご提案することがあります。

・「MTAセメント」による神経の保護

MTAセメントは、生体親和性が高く、強いアルカリ性による殺菌作用と、硬化時の膨張による高い封鎖性を持つ材料です。このMTAセメントで神経の露出部を保護することで、これまでは抜髄が避けられなかったケースでも、神経を残せる可能性が高まります。

・MTA治療が自費診療となる理由

MTAセメントを用いた歯髄温存療法は、マイクロスコープ下での精密な操作と、ラバーダムによる確実な防湿が不可欠であり、保険適用外(自費診療)となります。
当院では、この治療を**6.6万円(税込)**で提供しています。神経を抜いた後に必要となる被せ物や、将来的に歯を失った際のインプラント等の費用、そして「ご自身の歯を残す」という価値を総合的にご判断いただければと存じます。

【事例紹介】当院での判断と現実

私たちは、常に患者様に対して誠実でありたいと考えています。

・神経を残せたケース

「他院で神経を抜くと言われたが、残したい」と来院された患者様。マイクロスコープで慎重に虫歯を除去したところ神経が露出しましたが、出血の状態などから回復の見込みがあると判断。MTAセメントを用いた歯髄温存療法を行い、現在も神経が保たれた状態で経過観察を続けています。

・残せないケースについて

一方で、すべての歯の神経を残せるわけではありません。

すでに神経が壊死している場合: 虫歯を除去した際、すでに神経が死んで反応がない場合は、歯髄温存療法の適応外となります。その状態をご説明し、通常の根管治療へと移行します。

チャレンジケース: 神経に炎症が起きている可能性が高くても、患者様が強く希望される場合は、リスクをご説明した上で治療を試みることもあります。しかし、感染が深く予後が思わしくない場合は、後日やはり神経を取らざるを得なくなるケースもございます。

私たちは、可能性が残されている限り、患者様の「残したい」というお気持ちに寄り添った治療を提案いたします。

後悔しないために。治療前に確認していただきたいこと

もし今、「虫歯が深く神経が近い」と言われているなら、治療を進める前に以下の点について担当医に確認・相談してみることをおすすめします。

1、「マイクロスコープを使用した精密な治療は可能ですか?」

2、「ラバーダム等で唾液の侵入(細菌感染)を防ぐ処置は行っていますか?」

3、「神経が露出した場合、MTAセメント等で神経を残す治療法は選択できますか?」

当院では、こうした精密なアプローチを治療の基本として行っています。

ご自身の歯で長く食事を楽しむために

私たちは、ただ虫歯を削って詰めるだけでなく、患者様の「歯」を1日でも長く守るためのサポートをしたいと願っています。

「神経を抜くしかない」と言われてお悩みの方、あるいは、大切な歯をできる限り残したいとお考えの方は、ぜひ一度、当院へご相談ください。

 

この記事の監修者

都筑マイクロスコープ歯科 院長

UCHIDA YOSHITAKA

「歯の神経を抜くこと」は、患者様のその後の人生を左右する大きな決断です。

だからこそ、私は安易に抜髄や抜歯を選択せず、マイクロスコープを用いた精密治療で「一本でも多くの歯を救う」ことに全力を注いでいます。

かつて治療で怖い思いをした方や、諦めかけている方も、ぜひ一度ご相談ください。友人や家族に対するように、あなたの歯の未来を一緒に考え、守っていくことをお約束します。

【プロフィール】

神奈川歯科大学卒業。日本歯内療法学会、日本顕微鏡歯科学会所属。

「石井歯内療法セミナー」や「顕微鏡治療ハンズオンコース」など、高度な技術研鑽を積み、再発の少ない精密根管治療を提供している。

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