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「歯石を取ったら歯茎が下がった?」歯周病と歯石取りにまつわる7つの疑問に歯科医師が徹底回答

はじめに:歯周病は誰もが持っている?油断が招く歯茎の後退

「毎日きちんと磨いているから、自分は歯周病とは無縁」——そう思っている方は多いかもしれません。ですが、日本の成人のおよそ8割が何らかの歯周病にかかっているとされ、歯周病は誰にとっても身近なリスクです。

やっかいなのは、初期の歯周病にはほとんど自覚症状がないこと。痛みも出ないまま静かに進行し、ある日ふと鏡を見て「前より歯茎が下がって、歯が長くなった気がする」と気づく方が少なくありません。

そして知っておいていただきたいのが、一度下がった歯茎は基本的に元には戻らないという点です。重症化してしまうと、あとからどれだけ悔やんでも取り返しがつきません。だからこそ、歯茎が下がる引き金になる「歯石」について正しく知り、早めに手を打つことが大切になります。この記事では、患者様からよくいただく疑問にQ&A形式でお答えしていきます。

Q1. 歯石がつくと、なぜ歯茎が下がってしまうのですか?

原因は「歯石」そのものではなく、潜んでいる「細菌」

「歯石という固い塊が、物理的に歯茎を押し下げている」とイメージされる方が多いのですが、実際は少し違います。歯石は、磨き残したプラーク(歯垢)が唾液の成分と結びついて硬くなったものです。石のように硬いうえ表面がザラザラしているため、そこにさらに歯周病菌が住み着き、格好の温床になります。この細菌が出す毒素が、歯茎に炎症を起こし続けるわけです。

炎症によって健康な「明るいピンク」から「赤黒い歯茎」へ

細菌の毒素で炎症が続くと、歯を支える骨(歯槽骨)が少しずつ溶けていきます。土台の骨が減れば、それにつられて上の歯茎も下がっていきます。また、炎症を起こした歯茎は血液がとどこおり、健康なときの明るいピンク色から赤黒い色へと変わっていきます。歯磨きのときに血がにじむ、歯茎が赤黒い——こうしたサインは、歯茎の下で骨が溶け始めている警告と考えてください。

Q2. 一度下がってしまった歯茎は、歯石を取れば元に戻りますか?

歯石除去で引き締まりはするけれど、完全には戻せない理由

先に結論をお伝えすると、歯石を取れば炎症が収まり、歯茎が引き締まって「少し戻った」ように見えることはありますが、完全に元の高さまで戻すことはできません。理由は前述のとおりで、歯茎が下がるのは土台の骨(歯槽骨)が溶けているからです。一度失われた骨は、通常の治療では自然には再生しません。

だからこそ「これ以上下げないための予防」が大切になる

「完全には戻らないなら、歯石を取る意味はないのでは」と思われるかもしれません。ですが、それは違います。放置すれば骨はさらに溶け続け、最後は歯がグラついて抜けてしまいます。歯石取りの本当の目的は、進行をその場で食い止め、これ以上歯茎を下げないこと、そして今ある歯を一本でも長く残すことにあります。

Q3. 歯石は普段の歯磨き(セルフケア)では落とせないのですか?

歯ブラシではビクともしない理由と、歯科医院の「超音波ケア」の仕組み

プラーク(歯垢)の段階なら毎日の歯磨きで落とせます。ただ、一度歯石になると石のように硬く歯にこびりつくため、どれだけ力を込めて磨いても歯ブラシでは落ちません。むしろ、無理に力を入れれば歯や歯茎を傷つけ、かえって歯茎を下げてしまいます。

そこで歯科医院では「超音波スケーラー」という専用の機器を使います。細かな超音波の振動で、歯や歯茎を傷つけずに歯石だけを効率よく取り除いていく方法です。

Q4. 歯石を取ったら、舌で触ったときに凹んだりザラザラしたりするのはなぜですか?

歯石を自分の「歯」だと勘違いしてしまう錯覚

「歯石を取ったら歯と歯の間が凹んだ気がする」「舌で触るとザラザラする。歯を削られたのでは?」——そんな不安の声をいただくことがあります。ご心配はいりません。これは歯石が長くたまっていた方によく起こる、いわば錯覚です。歯と歯の隙間を埋めていた大きな歯石を、脳が「自分の歯の一部」と認識してしまっていたのです。

そのザラザラや凹みこそが、本来のあなたの歯の形です

歯石を取り除いたことで、長年隠れていた本来の歯の隙間や輪郭が現れます。舌がその変化を敏感に感じ取り、凹みやザラつきとして受け取っているだけです。むしろ治療がうまくいき、清潔な状態に戻った証拠ですので、安心してください。

Q5. 歯石を取った後に歯がしみるようになったのですが、大丈夫ですか?

歯石の「お布団」が剥がれて、本来の歯が露出するため

「歯石を取る前は平気だったのに、治療後に冷たい水がしみるようになった」というケースもあります。これも治療の失敗ではありません。歯周病で歯茎が下がると、本来は歯茎に隠れているはずの歯の根(象牙質)が露出します。それまでは、その根を歯石が分厚い布団のように覆っていたため、冷たさを感じにくくなっていました。歯石を取って布団が剥がれると、一時的に刺激が神経へ伝わりやすくなり、しみる症状が出ます。

正しい歯磨きで歯茎が引き締まれば、自然としみなくなっていきます

「しみるのが嫌だから磨くのを控える」——これは避けてください。歯ブラシやデンタルフロスでのセルフケアを続けていくと、歯茎の炎症が引いて引き締まっていきます。さらに、歯の表面に唾液の成分が働きかけることで、しみる症状も少しずつ落ち着いていきますので、ご安心ください。

※どうしても痛みが強い・しみるのが苦手な方へ
当院では、超音波の刺激が苦手な方や、しみやすい部位には、手用の器具(ハンドスケーラー)で一本ずつ丁寧に歯石を取り除くなど、痛みに配慮した対応をしています。不安のある方は、事前のカウンセリングで遠慮なくスタッフにお伝えください。

Q6. 歯茎をこれ以上下げないために、今日からできる正しい歯磨きとは?

【最重要】歯ブラシは「必ずやわらかいもの」を選ぶべき理由

これ以上歯茎を下げないために、当院が特に強くお伝えしているのが「歯ブラシはやわらかい毛(SまたはSS)を選ぶ」ことです。「しっかり磨きたいから」と普通の硬さや硬めを選ぶと、毛先が歯茎に当たったときに繊細な組織を傷つけ、かえって歯茎が下がる悪循環に陥ります。

市販の歯ブラシを選ぶときは、次の3つを目安にしてください。

  1. パッケージに「やわらかめ」と書かれているもの
  2. 毛が密に植えられていて毛量が多いもの(効率よくプラークが落ちます)
  3. 奥まで届くよう、ヘッドがなるべく小さいもの

※「どれを選べばいいか迷う」という方には、当院受付にて、歯科医師・歯科衛生士がプロの目線で選んだ「お口を傷つけず効率よく磨ける歯ブラシ」もご用意しています。お気軽にスタッフへお声掛けください。

毛先を優しく入れ込み、細かく刻むように磨くテクニック

磨き方にもコツがあります。歯ブラシを横に大きくゴシゴシ動かすのは避けてください。毛先を、歯と歯茎の境目(歯周ポケット)にそっと入れ込むように当てます。力は入れず、1〜2本ずつ小刻みに震わせるように動かしていきましょう。こうすると、歯茎を傷つけずに、歯周病菌の潜むプラークを優しくかき出せます。

Q7. 歯茎を引き締め、健康に保つための「仕上げマッサージ」とは?

やわらかい毛先で行う、歯茎を傷つけない優しいマッサージ法

歯磨きが終わったら、仕上げに「歯茎のマッサージ」を取り入れるのがおすすめです。やり方は簡単で、先ほどのやわらかい歯ブラシを使い、歯茎を優しくなでるように、あるいは円を描くようにマッサージするだけです。

続けていくと、歯茎の血行が促され、代謝も良くなります。赤黒くうっ血していた歯茎が、栄養の行き届いた明るいピンク色へと変わり、歯の周りが引き締まって、歯周病に負けにくい歯茎に育っていきます。行うときは必ずやわらかい歯ブラシで、力を入れすぎないよう気をつけてください。

まとめ:戻せなくなる前に。定期的な超音波歯石取りと毎日のマッサージで健康な歯茎を守りましょう

一度下がった歯茎は、完全には元に戻りません。「まだ痛くないから」「みんな持っているものだから」と放置せず、今ある健康な歯茎をこれ以上減らさないための行動が大切です。

ご自宅での「やわらかい歯ブラシによる優しいブラッシングと仕上げマッサージ」に加えて、自分では落とせない歯石は、歯科医院での「超音波ケア」で定期的にお掃除しましょう。

当院では、お口の状態に合わせて、まずは3ヶ月に1回の定期検診とクリーニングをご提案しています。ケアを続けていただき、歯石が付きにくくなってきたことが確認できれば、間隔を半年、1年と徐々に延ばし、患者様の負担を減らしていくステップも取り入れています。

「最近、歯茎の色が気になる」「しばらく歯石を取っていない」——そう感じたら、後悔する前に、まずは当院へお気軽にご相談ください。スタッフ一同、心よりお待ちしております。

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