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ドクターブログ
気になる「虫歯」 そのまま放置してたらどうなる?
お口の中に「虫歯」らしきものを見つけても、「歯医者に行く時間がない」「痛みがない」などの理由で歯科医院に行きそびれていたりしていませんか? 今はとくに問題はなさそうに見えても、虫歯を放っておくと後々大きなトラブルの元になりかねません。ここでは、虫歯を放置するリスクと再発しないための虫歯予防についてご紹介します。
虫歯を放置するとどうなるの?
虫歯のはじまりは「何となく歯がしみる」「鏡で見た時に黒っぽく見える」など比較的症状が軽いため、歯医者さんに行くタイミングを逃す方も少なくありません。ただ、そのまま放置すると以下のようなトラブルを引き起こしかねないため注意が必要です。
痛みが強くなる(眠れないほどの激しい痛み)
虫歯の進行度はCOからC4の5段階に分類されますが、このうちCO(初期虫歯)とC1(エナメル質虫歯)では自覚症状がほとんどありません。C2(象牙質虫歯)あたりまで進行すると「冷たいものがしみる」「噛むと少し痛い」などの症状を感じはじめます。しかし、これを放置して次のC3(神経まで達した虫歯)まで進行すると何もしなくてもズキズキと痛んだり、夜も眠れないほど激しい痛みがでたりします。
歯の神経が残せなくなる
歯は外側からエナメル質・象牙質・歯髄の3つで構成されており、そのうち一番内側の歯髄には感覚をつかさどる神経や栄養を送る血管が含まれています。虫歯がエナメル質から象牙質へ進行し、そこからさらに歯髄まで達すると神経や血管を除去する処置(根管治療)が必要になります。
治療に時間がかかる
虫歯もまだ小さければ、虫歯になった部分を削ってプラスチック(コンポジットレジン)で埋める治療で対応でき、早ければ1日で治療が完了します。しかし、進行して大きくなると歯を削ったあとに型取りをして詰め物や被せ物を作るなど工程が増え、その分治療にかかる時間も長くなります。さらに進行して神経を取る治療(根管治療)が必要となると、治療に時間も費用もかかるようになるため注意が必要です。
自分の歯が残せなくなる
ズキズキとした痛みがある虫歯も、時間が経つにつれ痛みを感じなくなることがあります。これは虫歯が治ったからではなく、虫歯の進行によって内側の神経が死んでしまったためです。痛みがないからといってそのまま放置すると虫歯はさらに奥に進行し、最終的には歯の根っこ(歯根)しか残らない状態になります。ここまで虫歯が広がると、残念ながら歯を残すのは難しくなります。
周囲の組織に感染が広がる
虫歯が深くなると、細菌は「根管」という歯の根っこの管を通って周囲の骨にまで感染が広がっていきます。これを「歯性感染症」といい、下の歯の虫歯ではあごの骨に感染が広がる顎骨骨髄炎などが代表的です。また、上顎の場合は鼻の両側にある「上顎洞」という空洞に細菌の感染が及ぶと歯性上顎洞炎を引き起こします。
虫歯は自然になおらない?
虫歯も最初のCO(初期虫歯)の段階で発見できれば、歯磨きの徹底やフッ化物の活用によって元の状態に修復することが可能です。しかし、そこからエナメル質内部にまで進行してしまうと歯磨きやフッ化物を使っても治ることはなく、削るしか治療の方法はありません。
歯は一度削ってしまうと二度と再生できないため、できるだけ早い段階で発見して治療に結びつけることが肝心です。
再発しないための虫歯治療
虫歯は治療をしても、詰め物や被せ物の内側に再び虫歯が発生してしまうことがあります。再発を繰り返すと歯へのダメージはさらに大きくなり、最終的にその歯を残せなくなる可能性があるため治療では細心の注意が必要です。
当院では、以下の取り組みで治療後の再発を防いでいきます。
カリエスチェック(う蝕検知液)で取り残しを防ぐ
カリエスチェック(う蝕検知液)は、虫歯になった歯質を赤く染め出す染色液です。この薬剤で虫歯の穴全体を染め出し、虫歯になった部分だけを取り除いていきます。こうすることで、目には見えない虫歯の取り残しや健康な歯質を無駄に削るのを防ぐことができます。
マイクロスコ―プによる精密虫歯治療
マイクロスコープは肉眼では見えにくい細かい部分を20倍にまで拡大できる医療用の顕微鏡です。虫歯治療でこのマイクロスコ―プを使用すると微細な部分の虫歯の取り残しが防げるほか、詰め物や被せ物の精度が向上します。詰め物や被せ物が歯にぴったり合うとすき間から細菌が侵入する心配がなく、以後も良好な状態を維持できます。
まとめ
最初は「冷たいものがしみる」程度だった虫歯も、放置するとそれがズキズキとした痛みに変わったり、その歯を残せなくなったりするおそれがあります。わずかな症状でも決して油断はせず、できるだけ早い段階で治療を受けるようにしましょう。
さらに、虫歯治療後の再発を防ぐうえでは最初に治療精度の高い治療を行うことも重要です。繰り返す虫歯にお悩みの方は、ぜひマイクロスコープによる精密歯科治療をご検討ください。