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ドクターブログ
歯を削らない虫歯治療ドックベストセメントとは?成功と失敗を分ける差
当クリニックでは、なるべく歯を削らない治療を心がけています。そこで今回はアメリカなどで多く使用されているドックベストセメントという治療を紹介します。
ただし、ドックベストセメントは万能の治療ではありません。どのような症例に適用できるかを丁寧に分析しないと、失敗に終わるリスクもあります。そこで今回は、ドックベストセメントの概要をメリット・デメリットとともにお伝えいたします。また、ドックベストセメントが難しい症例に関してもまとめました。
ドックベストセメントとは?
ドックベストセメントとは、アメリカで開発された殺菌作用のある歯科用セメントです。主に銅イオンと鉄イオンが配合されていて、虫歯部分に塗る事で、半永久的な殺菌効果が期待できます。
従来の虫歯治療は、細菌に感染した部分を大きく削ったり、歯髄に達していた場合は神経を取ったりするのが一般的でした。しかし、ドックベストセメントなら虫歯に感染した部分だけを最小限削り、その後はミネラルによって殺菌する処置が可能です。虫歯が少しだけ存在しても無毒化できるため、結果的に歯質が多く残り、歯の寿命を最大限伸ばす効果が期待できます。
ドックベストセメントのメリット
歯を削る量が抑えられる
通常の虫歯治療においては、感染した部分を大きく削り、詰め物や被せ物を入れるためのスペースを確保します。その際に健康な歯質も含めて削らなければならないケースもありました。一方でドックベストセメントなら健康な歯質を多く残せるので、歯の寿命を延ばす効果が期待できます。
歯の神経を残した虫歯治療が可能な場合も
一般的な歯科医院では、虫歯が重症化すると、神経を取る治療を提案されることがあります。しかし、一度歯の神経を取ってしまうと、歯の寿命が短くなってしまうのをご存知でしょうか?神経を取ると歯の中の血流がなくなるので、栄養が歯に行き渡らず歯根破折のリスクが高まります。一方でドックベストセメント治療なら、虫歯が重症化しても、神経を取らない治療をご提案できるケースもあります。
治療時の痛みを抑えられる
虫歯の治療は痛みを伴います。特に進行した虫歯の場合は、大がかりな治療が必要となり、患者様に多くの負担が生じます。しかし、ミネラルを使って虫歯菌を殺菌するドックベストセメントならば歯を削る量が最小限なので、痛みを抑えた治療が可能です。そこまで虫歯が進行していない場合は、麻酔を使わずに治療を終えられる可能性もあります。
ドックベストセメントのデメリット
保険適用外の治療(自費診療)である
ドックベストセメントは、本国アメリカではさまざまな症例に用いられている治療法です。確かな安全性は認められている状況ですが、日本においては保険適用外の治療となっています。そのため、通常の虫歯治療よりも治療費が高額になる傾向があります。
治療が適用できないケースもある
「ズキズキ強い痛みがある」「以前は激しい痛みがあったのに今は無い」などのケースにおいては、ドックベストセメントが適用できない可能性があります。無理に治療を行うと、かえって症状が悪化しかねません。ドックベストセメントを成功に導くためには、虫歯の進行度、位置、量などを正確に分析しなければいけません。
歯磨きなどのケアを怠ると虫歯の再発リスクが高まる
ドックベストセメントは永久的な殺菌効果があると言われています。しかし、それは定期的に歯科医院に行かなかったり、日々のメインテナンスをサボったりしても良いことには繋がりません。あくまで虫歯の再発リスクを下げるだけの話であり、治療後も定期的に通院を行わないと、再び虫歯は発生します。
ドックベストセメントの治療が難しいケース
以下の症状に当てはまる場合は、ドックベストセメントでの回復が難しい可能性があります。
【症状例】
・細菌が神経のギリギリまで到達している
・平常時に歯がズキズキと激しく痛む
・歯を触ったり、叩いたりすると強い痛みが生じる
・夜眠れないほどの痛みがある
・神経が化膿しているのがレントゲンで確認できる
まとめ
ドックベストセメントは副作用も少なく、アメリカでは多くの治療に用いられています。実際に当クリニックでもドッグベストセメントを利用し、さまざまな患者様のお悩みに対応してきました。
しかし、冒頭でお伝えしたとおり、ドックベストセメントは万能の治療法ではありません。的確に症例を見極めないと、術後に痛みが生じるなどドックベストセメントが失敗に終わってしまう可能性も考えれます。そこで当クリニックではCT検査とマイクロスコープを用いて、細菌の進行状態を正確に把握したうえで治療計画を作成しています。
ぜひ歯を削らない治療をご希望の方は当クリニックまでご相談ください。
症例紹介
痛みがある神経を守る治療虫歯の治療歯髄保存治療
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Before
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After
症状 | 染みる症状があるとのことで、前医で詰め物を保険治療で行ったそうですが、歯茎を覆い尽くすような詰め物がされています。 それでも染みるのが止まらないとのことで来院されました。 |
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治療方法 | 歯と歯の間を全て埋めるように白い詰め物がされていました。仮に染みる症状を抑えるためとは言えこのような詰め物をされてしまうと、歯と歯の間の掃除が一切できなくなり、より虫歯や歯周病のリスクをあげてしまいます。 まずはこの詰め物を全て除去します。この詰め物を除去しないと、ラバーダムを行うことができません。ラバーダムとは虫歯治療を行う際に必須の器具です。虫歯を除去したのちに唾液に含まれる雑菌がせっかく綺麗にした歯の表面に再度付着してしまうと虫歯の再発に繋がります。それを防止するための器具です。 ラバーダムをした後にマイクロスコープ(虫歯のみを選択的に切削して健康な歯の切削を最小限にするための器具です)を用いて虫歯と古い保険の詰め物を全て除去します。今回のケースでは神経に到達するほど虫歯が大きい場所だったので事前に患者さんにはお伝えしており、神経を残す歯髄温存療法をご希望されていましたので、神経の保護を最後に行いました。 |
費用 | 歯髄温存療法 6、6万円 |
備考 | 歯髄温存療法には適応症がございます。 神経が既に壊死されていた場合や神経への感染が激しい場合は歯髄温存療法が出来ない場合がございます。 既にお痛みがある方はお問い合わせフォームからお問い合わせください。 |